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[選手権]名門・清水東、「ラストゲーム」笑顔の勝利

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[10.23 全国高校選手権静岡県大会2次L最終戦 清水東 4-2 静岡西 浜松海浜]

 第89回全国高校サッカー選手権静岡県大会2次リーグ最終戦が23日に行われ、82年度全国王者の名門・清水東と静岡西が対戦。FW鈴木海(3年)の2ゴールなどにより、清水東が4-2で勝った。ただし、2次リーグ1勝2敗の清水東はAブロック3位に終わり、決勝トーナメント進出を逃した。

 静岡県ユースAリーグを圧倒的な強さで制して来季のプリンスリーグ東海昇格を決め、優勝候補の一角と目されていた名門・清水東と昨年8強の静岡西との実力派同士の一戦だが、同ブロックでは昨年の代表校・藤枝明誠と総体予選4強の磐田東の後塵を拝し、ともに第2戦を終えて2戦2敗で敗退が決定。全国への道を閉ざされた中での、3年生にとっては文字通り「引退試合」となった。

 それでも清水東のMF増田湧介主将(3年)が「消化試合だったけど、東高では最後の試合。みんなと勝って終わろうと言ってきたし全力でやった」と振り返ったとおり、清水東は先発に10人が名を連ねた3年生たちが有終の美を飾ろうと、立ち上がりから静岡西ゴールへと襲い掛かる。
 前半9分、セットプレーのこぼれ球をFW鈴木海がゴールへと突き刺すと、32分にはMF塩坂太郎(3年)の右クロスをMF鈴木航(3年)がゴールへと叩き込み2-0。35分にも増田主将のスルーパスで抜け出した鈴木海がGKをかわしてゴールへと流し込み、3-0とリードを広げる。

 3点ビハインドと苦しい状況となった静岡西だったが、後半に意地を見せる。2分、右ロングスローからゴール前へボールをつなぐと飛び込んだ2年生の10番FW杵塚悠が決定的なシュート。これはGK高木徹(3年)の好守に阻まれたが9分、右サイドを突いたFW伏見大二郎(2年)からのクロスを途中出場の1年生MF山田章正が打点の高いヘッドでゴールへと押し込み追撃開始。24分には1年生SB福島農の右クロスから杵塚が決めてついに1点差にまで迫った。

 勢いは完全に静岡西。突破力を生かして強引に右サイドの攻略を図る福島や巧みな球出しを見せるMF杉田康彦(3年)らがイケイケムードで清水東陣内へと押し寄せてくる。一方、突き放すことのできない清水東は不用意にボールを失い、カウンターからゴールへ迫られる展開が続いた。それでも後半38分、増田主将からのラストパスを受けた左SB秋山元気(3年)が豪快な右足シュートをゴールへと突き刺し勝負あり。清水東が追撃をかわして競り勝った。

 2次リーグ初戦に続き、第2戦も敗れた6日前。敗退が決定した名門は「終わったな、という感じだった」(秋山)という。ただ最終戦を見守る後輩たちの前で情けない試合をすることはできなかった。そして全員で勝利を追い求めた結果、笑顔でラストゲームを勝利した。増田主将は「結果を残せなかったけれど、東高で学べたことを感謝している」。90年以来全国舞台から遠ざかっている名門。FW高原直泰(現水原三星)、DF内田篤人(シャルケ04)でも叶えることのできなかった選手権全国大会出場はこの日、3年生の意地の勝利をスタンドから見守った1、2年生たちに託されることとなった。

<写真>後半38分、秋山のゴールを喜ぶ清水東イレブン
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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