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[選手権]サイド攻撃&選手層充実の全国王者・市立船橋「負ける気しない」:千葉

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[11.3 第89回全国高校選手権千葉県大会決勝T1回戦 市立船橋 6-0 柏陵 鴨川]

 市立船橋が夏冬連覇へ向けて6発発進! 3日、第89回全国高校サッカー選手権千葉県大会決勝トーナメント1回戦4試合が行われ、今夏の全国高校総体優勝の市立船橋は柏陵と対戦。MF石原幸治(3年)の2得点など6-0で快勝した。市立船橋は7日の準々決勝で習志野と戦う。

 市船は夏よりも確実にパワーアップしている。特に印象付けたのは破壊力の向上と選手層の充実だ。10番MF藤橋優樹(3年)は「高校最後の選手権。負けたら引退だし、どう気持ちをいれていいのか分からなかった。モヤモヤしていた」と緊張感もあったことを明かしたが、全国王者はその攻撃力でプレッシャーを消し去る。
 
 試合開始わずか2分、相手ハンドによって獲得したPKをMF今瀬淳也(3年)が右足で決めて先制。さらに8分には右CKからFW水谷達也(3年)が加点した。自陣に引いて守ることが予想されていた柏陵は勇気を持って前線からプレッシャーをかけてきたが、市立船橋は怒涛のサイド攻撃で攻略する。

 右サイドの攻撃的SB百瀬隆之介(3年)と、全日本ユース選手権を経て急成長した左SB小出悠太(1年)の両SBが前線、SHとの連係から次々と飛び出してきて決定機を演出。CB平尾優頼主将(3年)は「狙いすぎるところもあった」と反省していたが、サイドを起点に一度ギアが入るともう止まらない。24分、左サイドで小出のスルーパスを受けた石原が、スピードに乗ったドリブルで一気に柏陵守備陣を打開すると、そのまま右足シュートを叩き込み3-0。37分には右サイドへの展開から藤橋がドリブルで中央へと切れ込んで出したラストパスを、逆サイドから飛び込んだ石原が右足で押し込み、4点目を奪った。

 前半ロスタイムにも藤橋のゴールで加点した市立船橋は後半開始直後にも石原の左クロスからMF山田大貴(3年)が決めて6-0。この時点で今年の公式戦チーム最多得点に並んだ。ただし、6点ビハインドにもあきらめない柏陵にミスを誘発され、カウンターから柏陵FW大沼竜平主将やFW馬場巧(ともに3年)らにゴールへと迫られた。油断からか局面で当たりが弱くなる場面も何度か見られた。また藤橋のループシュートがクロスバーに弾かれるなど7点目を奪うこともできなかったが、それでも得点を与えずに快勝発進。石渡靖之監督は「ギャップに顔を出して数的優位をつくることが出来ていた。4点目はサイドチェンジから上手くゴールラインを取りましたし。厚みのある攻撃をやろうとしてきたが、きょうのゲームとしてはいい形がたくさんできた」と納得の表情だった。

 優勝した全国総体では、V候補同士の一戦となった青森山田との1回戦で強烈なカウンターから挙げた2ゴールを守って勝利するなど、得点は「守からの攻」への切り替えの速さで奪ったものが多かったが、圧力十分のサイド攻撃に長身選手を生かしたセットプレーの向上とチーム全体の破壊力が増している。
 また、全国総体でメンバー外だったボランチ、MF君塚倫齊(3年)や小出が台頭。総体優勝メンバーでもポジションを保障されないほど選手層が充実している。仮に1人、2人の出場停止が出たとしても大きな穴にはなりそうになく、より隙のないチームに仕上がってきた。平尾主将は「(全国王者として)見られている意識はある。いつもどおりと思っていても、それ以上を求められる。でもその期待に応えられるようにしたい。最後の大会にかける思いはどこも凄いけれど、自分たちも負けないようにしたい」。

 目標は全国大会での夏冬連覇。その前に昨年準決勝で敗れた習志野、昨年優勝の八千代、今年3戦3敗の流通経済大柏などが待ち構える激戦区・千葉大会を突破しなければならない。ただ「今は負ける気がしない」と言い切るエース藤橋ら実力を確実に高めた名門、は難関を突破して日本一校として全国へ舞い戻る。

[写真]サイド攻撃から得点を重ねた市立船橋。後半37分には右サイドを破った藤橋が4点目をアシスト
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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