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[MOM413]流通経済大柏MF古波津辰希(2年)_「エース殺し」が司令塔封じ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権準々決勝 山梨学院1-2流通経済大柏 フクアリ]

 80分間、黙々と自分の役割をまっとうした。流通経済大柏(千葉)のMF古波津辰希(2年)が“スッポンマーク”で前回王者の攻撃力を半減させた。「彼は“自称・エース殺し”なので」と本田裕一郎監督は冗談交じりに語った。ハードマークを持ち味とする古波津。この日のターゲットは山梨学院(山梨)のMF白崎凌兵(2年)だった。

 試合開始直後から攻撃時も守備時も、ボールの位置がどこであれ、影のように白崎の背後に付いた。抜群のテクニックとパスセンスを誇る司令塔を自由にさせず、相手の攻撃の起点をつぶす。役目は単純明快だった。

 それでも、立ち上がりは苦戦した。マンツーマンマークを逆手に取って上手くスペースを突く山梨学院の攻撃に押し込まれ、ピッチの至るところに顔を出す白崎を捕まえ切れない場面もあった。前半4分、24分には白崎がフリーでシュート。同27分には高い位置で白崎がボールを奪い、ショートカウンターから先制点を許す。マークとは無関係な失点だったが、これで古波津の闘志にさらに火が付いた。

 「自分がマークしている選手だし、自分のせいで危ないシーンをつくられたと思った。10番(白崎)に点を取られたわけではないけど、シュートを何本か打たれたし、もっと厳しくいこうと」

 2分後に同点に追い付き、後半33分に勝ち越しても、古波津の仕事は変わらない。「気合いだけならだれにも負けない」という気迫のディフェンスで徹底的に白崎を抑える。司令塔を封じられた山梨学院は結局、後半は1本のシュートも打てなかった。

 「県予選の決勝からずっとマンマークの仕事を与えられている。自分はそれをやるだけです」。千葉県大会決勝では市立船橋の10番、MF藤橋優樹(3年)をマンツーマンで抑え、チームも1-0の完封勝利。「市船の10番を抑えて自信が付いた」と胸を張る。

 初優勝した07年度大会以来、3大会ぶりの準決勝進出。国立競技場でも古波津の役割は変わらないだろう。「イエローカードを1枚もらうだけなら決勝には響かない。警告を受けるぐらい、準決勝ではもっと激しくいきたい」。流通経済大柏の誇るエースキラー。次なる“獲物”との対決へ、さらに牙を研いでいく。

[写真]流通経済大柏MF古波津(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2010

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