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[選手権]顔面シュートで流れが一変、流経柏・宮本「右目に当たった」

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[1.5 全国高校選手権準々決勝 山梨学院1-2流通経済大柏 フクアリ]

 まさかの顔面シュートが試合の流れを一変させた。立ち上がりから押し込まれた流通経済大柏(千葉)はその流れのまま前半27分に先制点を許した。不穏な空気がピッチを包む中、2分後の29分、意外な形で同点ゴールが生まれた。

 FKからゴール前で混戦になると、山梨学院のDF大黒貴哉(3年)がクリアしたボールが目の前のFW宮本拓弥(2年)の顔面を直撃した。「シュートを入れたというか、当たった感じ。右目あたりに当たりました」。宮本に当たって跳ね返ったボールはそのままゴール右隅へ。「みんなには『スーパーゴール』ってずっと言われました」。宮本はそう照れ笑いしたが、このゴールが山梨学院に与えたショックは大きかった。

 後半は流通経済大柏が一方的に攻め立てた。そして後半33分、宮本の左クロスをDF増田繁人(3年)が頭で折り返し、FW田宮諒(3年)が胸トラップから右足ボレー。「胸トラップした瞬間、シュートしか頭になかった。狙い通りです」。豪快なジャンピングボレーが決勝点になった。

 2人のストライカーが奪った2得点。田宮は宮本の顔面シュートについて「入れば何でもゴールなので。あれがストライカーだと思う」と言った。宮本が1トップで先発し、前半21分から田宮が途中出場すると、宮本が右サイドに移り、田宮が最前線に位置した。

 高さと強さが武器の宮本と、運動量とスピードが持ち味の田宮。本田裕一郎監督は「立ち上がりは蹴り合いになるだろうと思っていた。田宮では上背が足りないから宮本を1トップにして、ゲームが落ち着いたところで田宮を使う狙いだった」と説明したが、試合展開に応じて選手を使い分け、それぞれの個性を生かす選手層の厚さが流通経済大柏の最大の強みだ。

 「持っている? そう言いたいですね」。宮本はそう言って白い歯をこぼした。運も味方に付ける勝負強さで流通経済大柏が3年ぶりに国立に戻ってくる。

[写真]流通経済大柏FW宮本(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2010

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