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[選手権]鹿島入りMF梅鉢、再び「悲運のヒーロー」に

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[1.5 全国高校選手権準々決勝 久御山 1-1(PK4-3)関西大一 三ツ沢]

 鹿島アントラーズ入りを内定しているMFは今年も「悲運のヒーロー」として涙を流すこととなった。1-1で突入したPK戦。関西大一のMF梅鉢貴秀主将(3年)は5人目のキッカーとしてPKスポットへと向かった。

 昨年度の全国高校選手権準決勝。関大一は後半44分からの奇跡の2ゴールで青森山田(青森)に追いつきPK戦へと持ち込んだ。ただ2-3の5人目として登場し、相手GK櫛引政敏にPKを止められたのが、当時2年生MFとして攻守に大活躍していた梅鉢だった。

 1年前号泣した青森山田戦と同じ5人目のキッカー。「昨年の借りを返すためにここまで来た。ゴールへのイメージを描いてから蹴るということで1年間やってきた。(5人目は)自分がやるしかないと思っていた。成長した姿を見せたかった」という梅鉢主将だったが、背番号9の右足から放たれたシュートは久御山GK絹傘新(3年)にセーブされ、今年もゴールネットを揺らすことはなかった。

 今年1年間PKキッカーを務めてきた梅鉢主将にとって、PK失敗はあの青森山田戦以来だった。「自分が情けなかった。まだ終わっていなかったので顔だけ下げないようにした」と望みを捨てなかったが、久御山の5人目が決めて3-4で敗戦。昨年の屈辱を晴らす夢は叶わなかった。 

 昨年度に比べて戦力が落ちる中、梅鉢主将は大阪府大会準決勝、決勝で2試合連続ゴールを決めるなど攻守の中心として全国大会出場権をもたらした。「経験を生かして強い気持ちをもってやってきた。強いチームになったと思う」と仲間たちを頼もしく感じていた。そして府大会決勝で負った左ひじ靭帯断裂の重傷を乗り越えて再びチームの勝利に貢献。久御山戦の勝利で昨年度の4強に肩を並べるはずだった。梅鉢主将は0-1の後半12分に強引にドリブルでPAへ持ち込み、FW井村一貴(3年)の同点ゴールにつなげる活躍などを見せた。だがその結末はあまりにも残酷だった。
 
 「コースにしっかり蹴れなかった。同じ状況で同じ失敗をしてしまって成長できていなかった。この舞台で外してしまうのは力がないということ」。間もなく始まるプロ生活。2年分の涙の悔しさを晴らすという目標ができた。 

[写真]PK戦敗退。関西大一MF梅鉢は今年も“悲運のヒーロー”に
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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