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[MOM415]立正大淞南FW池田拓生(3年)_敗戦もよぎったPK戦で流れを食い止めるキック

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権準々決勝 西武台2-2(PK4-5)立正大淞南 フクアリ]

 一瞬、嫌な予感が頭をよぎった。2-1と勝利目前で迎えた後半ロスタイム。立正大淞南(島根)はラストプレーで失点し、試合はPK戦にもつれ込んだ。ほぼ勝利を手中におさめながら、土壇場で悪夢の失点。流れは西武台(埼玉)に移ったかに思われた。

 「PK戦は練習試合でもよくやっているけど、勝ったことがなかった。正直、ヤバイって感じだった」。FW池田拓生(3年)は素直な心境を明かした。それでも、すぐに気持ちを切り替えた。

 PK戦。先攻の西武台はエースのFW清水慎太郎(3年)がゴール左に決めた。後攻の立正大淞南の1人目が池田だった。絶対に外せない大事な場面。池田は落ち着いていた。「個人的にPKには自信があった。緊張せずに蹴ることができた」。冷静にゴール右に叩き込み、1-1。西武台に傾きかけた流れを食い止めた。

 結局、PK戦は7人目までもつれ込んだが、5-4の激戦を制し、「新チームになって初めて勝った」PK戦の末、国立への切符を手にした。

 80分間の中でも、池田の活躍によって常に先手を取った。前半10分、PA手前でボールを持つと、ゴール前に走り込んだMF加藤大樹(3年)にラストパス。加藤の4戦連発7得点目をアシストすると、1-1に追い付かれたあとの後半19分には自らゴールを奪った。

 右サイドからDF中村謙吾(3年)がゴール前にロングスローを放り込むと、ニアサイドでFW新里大地(3年)が競り合い、ゴール前に流れてきた。「新里がつぶれてくれて、抜けてきた」。トラップでボールを前に運び、右足でゴール左隅に流し込んだ。

 1回戦・帝京大可児戦(2-1)、2回戦・野洲戦(3-2)では加藤がチームの全得点を叩き込んだ。文字通り、加藤の活躍がここまでチームを引っ張ってきた。「(加藤は)普段はあまり決めないけど、今大会は乗っているから」。池田は冗談交じりに話しながらも、「自分も点を取って活躍しないといけない」と、FWとして刺激も受けている。

 4戦連発の加藤には及ばないが、池田も3回戦・新潟西戦(5-1)に続く2戦連続ゴール。「連続で取れたから、自分も乗っていける」と手応えを深めることができた。チームが勢い付く勝ち方で手にした国立への切符。「うれしいけど、次負けたら意味がない。決勝を目指して頑張りたい」と池田は力を込めた。加藤に引っ張られるように調子を上げてきた攻撃陣。4試合で12得点を記録している立正大淞南が、4試合15得点の滝川二(兵庫)との打ち合いを制するか。

[写真]立正大淞南FW池田(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2010

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