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ニュー浦和の象徴の一人、宇賀神が魅せた

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[3.14 J1第2節 浦和1-0F東京 埼玉]

 浦和レッズの今季初勝利に貢献したのは、ルーキーの左SB宇賀神友弥だった。前半18分、左サイドでパスを受け、得意のドリブルで突進。もともとはサイドFWやMFをこなしていたアタッカーがスピードに乗る。F東京のDF森重真人はファールで止めるしかなっかった。PKを奪い取りキッカーのポンテのゴールにつなげた。

 「きょうはチャンスがあれば自分で決めてやると思っていた。自分のほうが体半分出ていたし、シュートまで行ってやろうとしたら形的にPKが取れた。自分が試合に出ているうちにチーム初勝利が欲しかったので良かったです」

 ヒーローは満面の笑みを浮かべた。試合後、ヒーローインタビューに呼ばれ、本拠地でお立ち台に立った。「興奮した。気持ちよかったです」。インタビューアーに今年はW杯があります、とふられると、「W杯出場を目指して頑張ります!」と大サポーターの前で宣言してみせた。「あれはリップサービスです」と振り返ったが、その後に一人で行った場内1周でもジャンプして見せるなどサポーターを沸かせた。至福の時を体全体で感じていた。

 埼玉・戸田の出身で、堤俊輔、西澤代志也、小池純輝らとともに浦和のユースに所属した。しかし、トップには昇格できず、流通経済大に進学した。そこでの活躍が認められ、浦和へ“復帰”。思い焦がれていた赤いユニホーム、そして埼玉スタジアムのピッチ。大舞台で自分の力を発揮し、勝利に貢献してみせた。

 宇賀神は“ニュー浦和”の象徴の一つだ。もともとは攻撃的な選手だが、相馬、三都主らの移籍により、層が薄くなった左SBに抜擢。最初はオフサイドトラップとか“DFの動き”に戸惑ったそうだが、フィンケ監督に認められ開幕スタメンを勝ち取った。

 「攻守両方で1対1があるので楽しい。攻撃だけでなく、自分は守備も好き。この前はマルキ(鹿島・マルキーニョス)にやられたけど、それが経験になっている。楽しみながらやっていきたい」

 これまでほとんど経験のなかった不慣れなポジションだが、驚異的な学習能力と、このあくなき向上心でこなしている。生まれ変わろうとしている浦和に、宇賀神アリ-。宇賀神のサイドアタックがさらに威力を発揮すれば、田中、エジミウソンらを加えたスピーディーな攻撃がさらに機能するはず。新星はこれからも、らしさをどんどん発揮して、“強い浦和”の復活に貢献する。

<写真>浦和DF宇賀神
(取材・文 近藤安弘)

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