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磐田・中山が最年長出場! 本拠地、磐田サポーターに別れの挨拶

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[11.28 J1第33節 磐田0-1広島 ヤマハ]

 戦力外通告を受け今季限りでの退団が決まっているジュビロ磐田の元日本代表FW中山雅史が、28日のホーム広島戦に後半37分から今季リーグ戦初出場。ラモス瑠偉氏が東京V所属時代の98年につくった41歳9カ月5日の記録を抜き、42歳2カ月5日のJ1最年長出場記録を達成した。

 大歓声の中、FWイ・グノに代わってピッチに飛び出すと、出場直後に、左クロスに得意の頭をあわせた。惜しくも枠をとらえることができなかったが、観衆を沸かせた。その後もゴールを挙げることはできなかったが、報道や公式HPなどによると“まだ、やれる”と思わせる元気なプレーを見せたという。

 試合後はホーム最終戦のためセレモニーが行われ、中山は退団が決まっているDF鈴木秀人、DF茶野隆行、MF村井慎二とともにサポーターの前で挨拶した。また、大歓声を受けながら、ゆっくりと本拠地の場内を一周。ファンは感涙に浸ったという。

 中山にはJ2熊本や社会人リーグの藤枝MYFCなどから獲得のオファーが届いている。まだ、移籍先は決まっていないが、来季も現役を続けることは確実。ユニホームが変わっても、ピッチが変わっても、“中山らしく”ピッチを走り回ることだろう。

以下は磐田の公式HPに掲載された中山のコメント

[セレモニーでの挨拶]

 俺がジュビロの中山だ-! サンキュ-サンキュ-サンキュ-!

 ヤマハ発動機に入社しまして、ここまで20年間、いろんなことがありました。いい思い出も悪い思い出もありますけど、いつも僕の背中を押してくれたのは、みなさんでした。どれくらい大きく成長できたかはわかりませんけれど、みなさんの声援かあったからこそ、ここまで頑張ってこれたと思います。

 ここで終るのが、一番きれいな終わり方かもしれないんですけど、まだ「やりたい」という気持ちが、情熱が、情熱が僕の中に残っているので、プレ-を続けたいと思います。

 まだ、チ-ムは決まっていませんけれど、いったチ-ムでも、ここで培った、成長させてもらった魂を胸に、ピッチで走りたいと思います。あと1試合残っています。ジュビロの勝利のために、成長のために、一生懸命、努力していきたいと思います。ありがとうございました。

[試合や今後について]
 
 試合は、ある程(相手を)抑えることができていたかもしれないけど、1本2本を得点につなげられてしまったというのが、まだまだなところです。そういうものですけど、そこでも相手を抑えられるか、自分たちがリスクを負いながらも、そこに対する注意を怠らずにやれるかというところで、落とし穴があったのかなと感じますね。

 あと、自分たちもチャンスがあったのに、それをモノにできなかったところも力不足なんだろうなと思います。自分も結果を求めていったんですけど、なかなか実を結ばなかった。ピッチに入るときは、サイドでいい位置までボ-ルを運べているので、あとは中での勝負だとわかっていたし、中で構えてクロスに対して飛び込んでくれという指示でした。だから、あまり開かないようにしようしていたんですけど、一発目開いちゃいました。でも、開いて落として、そこから中に入ったので、いわれた指示は守っています。問題ないでしょう(笑)。中で構えるより相手の裏をとるとか、前をとるとか、そういう動きを前田とうまくコンビを使っていければと思っていました。

 挨拶の前に、オ-ロラビジョンで流れていた数々の自分のゴ-ルを見ていて、あの頃くらいにもうちょっとジャンプができれば、と思っていましたが、僕自身、そんなにジャンプ力は変わっていないはずなんだけど、もう5センチ、10センチ高くジャンプできていれば、今日のチャンスをモノにできていたかもしれないですし、そこにいたるまでに、もうちょっと工夫できればいいのかなと感じました。いつも、ああしていれば、というのはあるんですけど、そういう反省点や修正点が試合後に見つけられないくらい、そういうことはないとは思いますけど、そういうふうになっていければとは思います

―ジュビロのホ-ムで戦うのは最後です。どういう心境で臨みましたか?
 
 「ホ-ム最終戦というよりは、ホ-ムで戦う以上は、どの試合も負けられないという意気込みでしたけど、結果が出なかったのは、残念で仕方がないです」

―サポ-タ-からサプライズもありました。

 「本当に、僕自身を応援してくれて、感謝の気持ちでいっぱいです。その期待になかなかこたえられなかった自分がはがゆくてしょうがないですね」

―声援を受けて、磐田での思い出と、これからへの思いと、どちらが大きくなりましたか?

 「燃えたぎるものがなければ現役続行できないし、それを維持するかぎり、僕の青春時代なのかなと思います」

―広島のサポ-タ-からもコ-ルがありました。

 「すごくありがたいです。サッカ-を愛する気持ちは一緒ですから、そういう思いを僕に寄せてくれているのかなと感じましたし、僕自身も、サッカ-を盛り上げていけたらいいなと思います」

―サッカ-選手として、みんなに愛されていると改めてみんな感じたと思いますが。

 「愛されているのか、慈悲をいただいているのかわかりませんけど(笑)。僕がやれるプレ-を一生懸命、グランドで表現できればいいと思います」

―引退のような雰囲気でしたが?

 「はい。そういう雰囲気が感じられたので、なんとか壊したいとは思っていましたけど(笑)。ここに20年いたから、みなさんがそう感じるのは仕方がないかもしれないですけど、僕自身、歩みを止めたわけでもないですし、新しいところで走り続けたいと思っているので、その姿をまた応援してくれればと思います。ジュビロを応援するかたわら、少しでも僕のことも気にかけてくれれば、力になると思っています」

―ジュビロスタジアムとは、中山選手にとってどんな場所ですか。

 「非常に心地のよい、昼下がりのぽっかぽっか陽気の公園という感じですかね。そのなかで遊びたくなるというか、わくわくさせてくれるスペ-スですよね。そこでわくわくしながらも、愕然することが多いんですけどね(笑)」

―サポ-タ-に胴上げされた気持ちは?

 「本当に背中を押してくれているという感触を得られたので、またがんばっていけるんじゃないかと感じました」

以上

(文 近藤安弘) 

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