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柏、奇跡起こせずもサポーターから温かい拍手

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[11.28 J1第33節 大宮 1-1 柏 NACK]

 サポーターから送られたのは怒号ではなく温かい拍手だった。甲府にJ1・J2入れ替え戦で敗れた05年以来となる柏レイソルのJ2降格。だが、降格寸前の瀬戸際から清水を5-0で下し、新潟を1-0で破り、この日も最後まで懸命に戦いぬいたイレブンは、柏サポーターだけでなく大宮サポーターからもその戦いぶりを拍手で讃えられていた。

 大宮のMF藤本主税が「(柏の)ボールに対する執着心はすごかった」と振り返ったように、J1残留の可能性をつなぐためには勝つしかない柏は前線からのハイプレッシャーで相手に襲い掛かり、自分たちに流れを引き込んだ。だが、ボールこそ持っている時間は長かったものの、時に中盤の選手も最終ラインに入って守りを固める大宮の守りを崩せない。先制された直後にFWフランサの鮮やかな一撃で同点とし、その直後からFWの田中順也とMF菅沼実を投入してアタッカー6人を並べたが、粘る大宮から決定的なチャンスをつくることのできないまま試合終了を迎えてしまった。

 ピッチ上で呆然と立ち尽くしたイレブンは、その後重い足取りでサポーターへの挨拶へ。だがアウェーということがあってか、間もなくロッカールームへ引き上げると、ほとんどの選手が足早にバスへと乗り込んだ。目を真っ赤にして記者たちからの質問に応えていたMF大津祐樹は「自分の能力の足りなさ」と唇を噛み締め、サポーターに対しては「個人としてもチームとしても感謝している」。最終戦は優勝を懸けた川崎Fとのホームゲーム。それだけに「最後まで頑張る」と声を振り絞っていた。奇跡をおこすことはできなかったが、サポーターの声援に最終戦でしっかりと応える。
 
<写真>大宮のサポーターも柏の健闘を讃えた
(取材・文 吉田太郎)

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