beacon

勝ち点2差に泣いた川崎F、鹿島の「勝負強さ」讃える

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.5 J1第34節 柏 2-3 川崎F 柏]

 ラスト8試合で7回目の勝利。川崎フロンターレは終盤戦、最高に近い形で勝ち点を積み重ねた。それでも優勝には勝ち点わずか「2」届かなかった。

 3点目のゴールを決めてチームを勝利へ近づけたMF中村憲剛が「本当に残念です」と悔しがり、試合終了とともにベンチに首位・鹿島の試合結果を確認したDF森勇介は「『ダメ』といわれて、がっかり。今年はACLもナビスコ杯も取れなかった。Jリーグは本当に取ろう言ってきたからショックです」と首を振った。最終戦を勝利で飾りながらも、届かなかった優勝を悔やんだ。

 鹿島勝利の結果を確認した選手たちはピッチに座り込み、倒れこむ者もいた。ただ、ミックスゾーンに現れたほとんどの選手の表情は納得したものへと変わっていた。GK川島永嗣が「今日僕らに与えられた使命は勝つことだけ。結果的に優勝できなかったけど、鹿島は優勝すべくして優勝したと思う。鹿島も苦しい時はあったと思う。それを乗りこえて勝ち取った優勝」と話し、FW鄭大世も「自分たちは(0-1で敗れた)大分戦以外は全部勝った。きょうも勝った。それに対しては自信を持っていい。自分たちよりも鹿島の勝負強さを讃えたい」とライバルを讃えていた。

 前半終了時点では鹿島対浦和が0-0だったため“暫定首位”だった川崎F。優勝を逃したことは悔しいものだったが、胸を張って川崎へ帰る。鄭は「下向かないで切り替えてまたガンバッてサッカーをしたい。天皇杯は、大切な大切な大会。夜には切り替えてがんばる」と前を向いた。
 負ければその時点で優勝の可能性が消滅していた最終戦。大事な試合で敗戦を繰り返してきた川崎Fに悪癖を出す姿はなかった。終盤追い上げられても逃げ切った。厳しい試合を乗り越える強さが確実に備わりつつある。そして、それぞれの選手が今シーズンの戦いぶりに「フロンターレは成長している」と胸を張った。2位に終わったショックが大きいのは確か。だが、初タイトルに向けて挑み成長を続ける彼らには今シーズン、まだ天皇杯制覇のチャンスが残されている。

(取材・文 吉田太郎)

TOP