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9年ぶり小野VS稲本に17716人沸いた

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[3.20 J1第4節 川崎F0-0清水 等々力]

9年ぶりの邂逅に、ピッチとスタンドのボルテージが上がる。川崎Fのボランチには稲本潤一、清水の2列目には小野伸二。79年生まれのゴールデンエイジたちの中でも筆頭格の2人が敵味方としてJのピッチに立つのは、01年6月20日のナビスコカップ浦和対ガンバ大阪戦以来、9年ぶりだった。

リーグ戦に限って言えば、98年5月2日以来、実に12年ぶり。U-16日本代表時代から競い合うように世界を渡り歩いた2人の対決は、試合開始早々、いきなりヒートアップした。

空中戦で頭を打ちあい、小野が悶絶。ACLからの疲れを引きずっていた稲本は「最初のあのプレーでたんこぶができて、目が覚めた。伸二は大丈夫だったのかな」と、その後はワンボランチとして守備でも攻撃でも存在感十分の働きを見せた。連戦中の上位対決で勝点1を奪ったことで、「ここが踏ん張りどき」と表情に納得した様子が浮かぶ。

小野も持ち味を発揮した。26分、前線を走る岡崎慎司に、オフサイドギリギリの絶妙なスルーパス。岡崎のトラップはややズレてしまったが、小野はその後も自在のボールコントロールでチャンスを作った。世界でも上級レベルのテクニックは、まったく色あせておらず、ボールを失うことがないほど。

「こっちのチャンスが多かったので、勝点3を取れなかったのは凄く残念」と悔しがったが、これから調子が上がっていけば、もっと怖い存在になるのは間違いない。

日本サッカーの高度成長期の顔でもあった2人だが、直接対決は意外なほど少なく、プロとしてはこの日でまだ4度目だ。

「僕らの世代が中心になって、もっと盛り上げていきたい」と稲本。対戦成績を通算2勝2分けとした小野は「ボーフム対フランクフルトのときにドイツで対戦(08年3月8日)したときも引き分けだったし、今日は勝ちたかった」と、若いころと変わらぬ悔しさをあらわにする。

中村俊輔(横浜FM)も含め、Jリーグはますます熱くなっていく。
(取材・文・矢内由美子)

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