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浦和が1年ぶり首位。指揮官「入場料分の試合を見せられた」

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[4.18 J1第7節 浦和3-0川崎F 埼玉]

 埼玉スタジアムに「We are REDS」の大歓声が鳴り響き続けた。浦和レッズがホームで川崎Fに3-0完勝。4連勝で勝ち点を16に伸ばし、昨年5月2日の柏戦以来の首位に立った。

 電光石火の攻撃を見せた。2分間で2点を奪った。前半7分、ゴール前で川崎Fのクリアのこぼれ球を拾い、MF細貝萌が左足を一閃した。強烈なミドル弾で日本代表GK川島の手を弾き、今季初ゴールとなる先制弾をぶち込んだ。

 「セカンドボールを意識していた。ファーストタッチが良かったんで打った。阿部さんも点を取っていたし、ボランチをやる以上は、自分も獲りたいと思っていた」とニンマリの細貝。ボランチでコンビを組む日本代表MF阿部勇樹が公式戦3戦連発中と好調だったが、これに刺激された。最近2試合は右足首痛で離脱しており、その借りを返す一撃にもなった。

 その1分後、再び目の覚めるようなビューティフル弾が決まった。FW田中達也が快足を生かしてドリブルで中央へ突進。約25mの距離から左足を一閃し、豪快に右上に突き刺した。「思い切り打ってよかった。たまたまです」と謙遜したが、視察に訪れた日本協会の原博実技術委員長は「いいシュートだった。いい状態だね」と評価。「(代表メンバーは)現場が判断することだが、現場を悩ませるくらい活躍してほしい」と期待を寄せていた。

 後半、川崎Fも中村憲剛を投入し、盛り返してきたが、しっかりと守備ブロックを形成し、J屈指の攻撃を跳ね返した。後半11分にはGK山岸範宏がPKをストップ。そして同27分には、途中出場のMF堀之内聖がダメ押しの3点目。2試合ぶり今季3度目の完封に、今季最多タイの3得点と、まさに攻守がしっかりとかみ合って勝利をつかんだ。強豪の川崎Fが相手だっただけに、勝ち点3以上の価値があるだろう。

 指揮官の求めてきたサッカーが具体化されている証拠だ。この日は攻撃では常に守から攻の切り替えが早く、2、3人が連動してパスを交換。前線が流動的に動いてゴールに迫った。守備面でも、以前のように個の力でボールを奪うのではなく、柏木ら前線がプレスし、阿部らボランチ、サイドバックが追い込んでと、こちらも連動している。

 フォルカー・フィンケ監督は「今日の試合内容を見れば、入場料分の試合をしっかりとお見せすることができたと思う。戦う姿勢、アグレッシブなプレーなど、さまざまな要素をしっかりとゲーム中に見ることができたし、本当の意味で価値のある優れた試合だった」と胸を張った。また昨季まで、攻守でチームが連動して戦った広島スタイルの中心選手だった柏木陽介も「チームとして戦えている。(攻撃も守備も)チームとしてできている。それがすごくうれしい」と手ごたえを口にした。

 昨季と比べると、闘莉王が移籍、梅崎司の負傷離脱や、鈴木啓太、高原直泰ら実績ある選手がスタメンから外れるなど、選手の入れ替えがあった。阿部勇樹は「去年からのメンバーが何人か抜けて、サポーターはどうなるのかなと思ったと思う。その中でも、やらないといけないという気持ちがいい方向に行ってるんだと思う」とフィンケ流の浸透だけでなく、そんな“反骨心”がチームを上昇させていると説明した。

 この日は4万6313人の観衆が訪れ、J参入時から数えてホーム1000万人超の動員を記録した。その記念すべき日に約1年ぶりの首位に立った。昨年は、まだフィンケ流が浸透せず、首位を維持することはできなかった。今年はどうか-。柏木は「まだまだですね。これから負ける時もあるけど、連敗しないチームにしたい。それが上位でい続けることになる」と気を引き締める。

 PKを止めた山岸も「こういう勝ち方をしたあとに、チームの力が問われる。次の試合が大事。強いチームは落とさないから」と言い切った。果たして、この強さは本物なのか-。ここから新生レッズの真価が問われる。

<写真>浦和サポーターがチームフラッグを掲げる
(取材・文 近藤安弘)

浦和のサッカーを戦術と選手コメントで読み解く『浦和再生』

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