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浦和・原口が1得点1アシスト。田中達也の脳震盪による緊急交代を救う

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[5.5 J1第10節 浦和2-1名古屋 埼玉]

 “レッズの至宝”がチームの窮地を救った。浦和レッズの18歳MF原口元気が1ゴール1アシストの活躍。連敗を2で止め、3試合ぶりの勝利に導いた。

 0-1の後半3分、PA左でこぼれ球を拾って中央の柏木陽介に横パス。柏木の移籍初ゴールとなる同点弾をお膳立てした。さらに後半10分にはポンテの縦パスに抜け出し、左足を一閃。今季初ゴールで2-1逆転に成功した。

 「悔しい時期が続いてたので、本当にうれしい。今年はあまり試合に出られなくて悔しかったけど、悔しさを晴らせました!」

 原口の笑顔がはじけた。出番は突然やってきた。前半21分、FW田中達也がヘディングシュートを試みた際、名古屋DF千代反田充とぶつかり頭を打って転倒した。その後もなんとかプレーを続けていたが、頭部の違和感がおさまらずに交代を申し出てきた。そして前半34分、田中に代わって原口が投入されたのだ。

 昨季は17歳でプロ契約し、開幕スタメンをゲット。チームで2番目となるリーグ戦32試合に出場するなど、若返りを図った新生・浦和の象徴的存在となっていた。しかし今季は、田中達也、ポンテの完全復活、柏木陽介の新加入などでポジション争いが激化。ここまでリーグ戦の先発出場は一度もなく、計5試合で96分間の出場にとどまっていた(ナビスコ杯は全2戦先発)。

 不測の事態での緊急出場となったが、舞い上がることはなかった。持ち味の積極的なドリブルとパスを披露した。「ずっと準備してたので、やれる自信はあった。続けてきたかいがあったと思う」と原口。いつでも試合に出られうように心技体を整えていたことが、この日の活躍につながった。

 「間違いなくもう1点取れていた。それが取れていたら、チームはもっと楽になっていた。そういうのを決めらるようにしたい」

 原口は反省も口にした。たしかに後半、24分や44分など自身2点目を取るチャンスが訪れたが、いずれも決めきれなかった。ヒーローになったからこそ、反省点を洗い出しに、次につなげたい。

 「きょうはこどもの日だった。こどもたちの手本になれるようにこれからも頑張りたい」

 発する言葉、背負う責任感は18歳のものでなく、立派な大人のものだった。田中は幸い、軽い脳震盪のようで、試合後は大事をとって取材はなかったが、原博実技術委員長に「大丈夫です」と笑顔をみせていた。熾烈なライバル争いは続くが、不屈の精神で立ち向かう。

<写真>浦和MF原口
(取材・文 近藤安弘)

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