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【連載】南アへカウントダウン!(22)長友が弾丸ボレーでW杯へ

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南アフリカW杯開幕まであと27日!
[5.15 J1第12節 F東京2-2清水 味スタ]

 選手交代が合図になった。0-2の後半27分、MF松下年宏がMF石川直宏に代わってピッチに入ると、FC東京の選手は目まぐるしく配置が変わった。

 「最初は分からなかった。FKでプレーが止まって、松下さんに“右の前”って言われて。そこで気付いた」。右サイドバックで先発したDF長友佑都はここで右MFに移った。センターバックのDF今野泰幸も2列目にポジションを上げ、4-1-4-1の2列目に長友、今野、平山相太、リカルジーニョと並んだ。

 「点を取りに行くことしか考えてなかった。絶対負けたくなかったし、先に2点取られたけど、あきらめてなかった。あそこで下を向いたら取れてなかったかもしれない。あきらめない気持ちが出た」

 後半40分、松下の左CKをGK西部洋平がパンチングすると、ボールはPA外の長友の方へ飛んできた。迷わず右足を振り抜くダイレクトボレー。強烈な一撃がニアサイドを破り、反撃ののろしを上げた。

 「自分でもビックリした。喜びたかったけど、まだ負けてたから。ガッツポーズしようとしたら、“早く戻ってこい!”って言われて…」。そう苦笑いした長友だったが、「弾道は見えていた。夢へのゴールですね。うれしかった」と自画自賛のスーパーシュートだった。

 このゴールで勢いに乗り、その2分後に松下が同点ゴール。2点ビハインドから3分間で追い付き、勝ち点1を手にした。「いろんな思いがあった。ホームのサポーターの前で結果を出したかったし、強い気持ちで試合に入った」と長友は言う。

 目前に迫った南アフリカW杯。さらに、同世代のDF内田篤人やMF香川真司に海外移籍のチャンスが訪れる中、長友もイタリアなど海外のクラブから注目されている。欧州志向の強い長友にとってW杯は自分をアピールする絶好の舞台でもある。

 21日からはいよいよ代表合宿がスタート。「チームが勝てば一番よかったけど、手応えとしてはコンディションもいいし、いい感じで(代表に)入れると思う」。試合直後には早くも代表モードに切り替わっていた。

(取材・文 西山紘平)
※今連載ではJリーグ取材時に日本代表選手を取り上げていきます

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