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平井が復活2発でランク2位浮上! 親友・香川と並ぶ7点も「アイツはPK1本あるから6点」

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[5.16 J1第12節 湘南1-3G大阪 平塚]
 
 “なにわのアンリ”が低迷するチームを救った。怪我あがりとは思えない圧巻の2ゴールで3-1勝利に貢献。今季得点ランキングも2位タイとなる7ゴールと再浮上。敵地で大暴れしてみせた。それなのに、なぜ?? 
 「ぜんぜんダメですね。自分の中ではワーストの試合です。ゴール以外が良くなかった。ボールが足についてなかったです。きょうは45分で代えられるかと思ってた。決められてよかった」
 ヒーローなのに試合後は、反省ばかり口にした。左太股裏の肉離れから11日のACL城南一和戦で途中出場し公式戦7試合ぶりに復帰。この日は8試合ぶりに先発復帰した。見ているかぎり動きにキレがあり怖さを発揮した。しかし、本人はファーストタッチが思うようなところに落とせなかったこと、また前半途中まで1トップ気味だったためポストプレーの精度を欠いたことを反省に挙げた。
 途中からルーカスが宇佐美と代わってFWになり、平井との2トップへ。平井は1・5列目に位置したことでより持ち味が出た。0-1の前半41分、PA正面でルーカスの落しから右足一閃。ルーカスの体に当たってコースが変わったこともあるが、思い切りのいいシュートで同点弾を突き刺した。「あれはたまたま。コースも狙ってないし、蹴っただけ」と平井は振り返ったが、これでG大阪の流れをプラスに変えたのは事実だ。
 後半16分にはカウンターからルーカスのパスを受け、ドリブルで突破。相手守備陣を寄せ付けないスピードで切り裂き、3-1とするダメ押し弾を決めた。本人もこのゴールは納得しているようで「ああいうのをこれからもやっていきたい。やっぱり、きょうのDFは裏だと読まれて、自分が持つと下がっていた。そういう時は、自分はドリブルでも仕掛けたい」。だがすぐさま「あれもシュートは蹴っただけ。コースも甘くて、GKの正面に近いところだったから」と課題を口にした。
 簡単には満足できない理由がある。怪我で離脱してチームに迷惑をかけたこと、それとC大阪のMF香川真司の存在だ。学年は平井が一つ上だが、香川とは食事に行ったりと仲良し。計7得点と香川と並んだが「アイツはPKが1本あるから6点」とライバル心もある。そんな好敵手は先日、ブンデスリーガ・ドルトムントへの移籍が決まった。平井はすぐに連絡を取り、激励もかねて食事に行くことを約束したが、内心は応援したい気持ちと、自分も負けられないという思いがある。
 「身近なやつが海外に行くというのは、刺激になりますね。アイツがどれだけやれるのかとか、アイツがどんなプレーをするのか、楽しみです」と平井。まだ22歳でコメントもどこかやんちゃな面を残すが、高みに挑戦する同世代を見て自身の理想も高くなった。「何でもできるようになりたい。裏だけでなく、落しとか、ゴール以外のところでもしっかりとプレーしたい」と言い切った。
 この日の試合は、日本サッカー協会の原博実技術委員長も視察。平井の活躍を目に焼き付けた。17日には若手中心で構成される南アフリカW杯のバックアップメンバー4選手が発表されるが、香川や広島DF槙野が辞退を示唆している。試合後、原委員長はG大阪の山本強化本部長と約10分くらい会談。「メンバーはいえません。まだ調整している。明日の4時に発表します。平井? ああ、そこらへんも含めて明日わかります」と話したが、活躍を見れば平井が招集されてもおかしくない。
 本人は「ないでしょ。それにまだ足が不安。向こうにいったら(若手の自分が代表の中で)マッサージしてとかいえないでしょう」と話したが、周囲の期待は高まるばかり。G大阪ファンはもちろん、全国サッカーファンの中でも“平井株”は急上昇中だ。
<写真>G大阪FW平井
(取材・文 近藤安弘)

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