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新ボランチ・柏木が浦和に変化つける。日本代表入りも宣言!

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[9.12 J1第22節 F東京0-1浦和 味スタ]

 阿部勇樹が抜けたボランチで、若き司令塔が輝いた。浦和レッズのMF柏木陽介が“絶妙パス”で勝利に貢献した。後半20分、中盤でボールを持つとPA正面にポジション取りしたエジミウソンを見逃さない。すかさず鋭い縦パスを入れると、エジミウソンが落として原口元気へつながり、森重真人に倒されてPKを獲得。ポンテの決勝弾につなげた。

 「縦パスを意識していた。いい形で前を向けて出せた。あとはエジ任せ。いい落しをしてくれた。攻撃にはリスクを冒さないと。後ろのパスはミスしたらダメだけど、前にはチャレンジしないといけない。レッズにはそういうプレーがなかった」

 満足げな表情を浮かべた。日本代表MF阿部がイングランドに移籍し、ボランチにはトップ下だった柏木が回った。広島時代にもボランチは経験済みで、浦和でも試合途中からはこなしており、戸惑いはなかった。浦和でトップ下でプレーするとき、球を引き出すフリーランニングや裏へ抜ける動きを優先させたが、感じていたことがあった。「リスクを冒した縦パスがあまり出てこない」と。阿部が移籍後にボランチ転向し、そこで気づいていたことを実行に移したわけだ。

 阿部は献身的な守備とミドルレンジのパス、セットプレーが武器だったが、柏木は運動量とスルーパスにある。どちらが良いかは一概に言えないが、パスをつなぐことを優先する浦和にあって、リスクを冒す縦パスと飛び出しが、一つのアクセントになっていることは事実だ。

 気になる守備面も「守備の選手かと思うくらい守備している。自分はオールラウンドな選手になりたいんで。どこをやってもそん色なくできるようにしたい」と言い切った。ここまで追い込むにはわけがある。浦和の勝利はもちろん、その先に日本代表を見据えるからだ。

 「監督が代わって、自分にもチャンスがあると思う。そこに行くには、いいプレーを続けて、(浦和を)勝利に導くのが近道。チームで結果を出して、アピールした。代表を見てて、ここでやらないけとダメだと思ったんで」

 広島時代のチームメートで同世代の槙野智章は新生日本代表に選ばれ、試合出場した。仲がいいだけに、自分も-という思いがある。くしくも、この日はA代表の関塚隆コーチが視察に訪れた。いいアピールになったに違いない。チームは優勝争いからは遠ざかっているが、柏木はボランチという新境地でも活躍をみせ、浦和の浮上と代表入りの二兎を追う。

<写真>浦和MF柏木

(取材・文 近藤安弘)

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