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F東京はまた終盤に失点。運命の京都戦に今野「俺らの底力を見せたい」

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[11.27 J1第33節 F東京1-1山形 味スタ]
 まさに今季を象徴するような試合だった。内容は相手を上回りながら勝ちきれない……。勝ち点3をつかめば得失点差でほぼJ1残留決定といえたFC東京だが、追い付かれて痛恨の1-1ドロー。日本代表DF今野泰幸はピッチにひざまずき、顔面を両手で覆った。肩を落とす者、下を向く者、大の字になって天を仰ぐ選手もいた。
 「神戸の結果は知っていた。絶対に勝ちたいと思っていた。引き分けたのは、今年1年、自分たちが苦しんでいる通りの試合になったから。できれば前半に1点欲しかった。みんな味スタで勝ちたいという気持ちが強すぎたのかもしれない……」
 出場停止明けで先発し、ゴールを決めた平山だが、当然、笑顔はなかった。後半29分、PA正面でパスを受け、反転してDFのマークを交わして左足で先制弾を奪った。まるで勝利したかのようにイレブンは平山に駆け寄り、抱き合い、重なり合って喜んだが、その12分後に悪夢が待っていた。
 後半41分、左サイドを崩されて最後はクロスからFW田代有三に同点ヘッドを浴びた。GK権田修一は「枠に飛んできたということは、触らないといけなかった。(その前に)田代さんはああいうのに強いから、あそこに入られないようにしないといけなかった。サイドをやられていたから、その前に(クロスを)入れられないようにしないといけなかった」と悔やんだ。
 これでホーム・味の素スタジアムでは3月6日の開幕・横浜FM戦(1-0)以来、14試合連続で白星を奪えなかった。本来はプラスなはずのホームが“鬼門”となった。そもそも“第二ホーム”の国立競技場での試合を含めても2勝だけと最悪の結果に。試合後、今季ホーム最終戦ということでセレモニーが行われたが、村林裕社長の挨拶時には、サポーターからブーイングとともに「村林やめろ!」の罵声も飛び交った。 
 「1点を守り切れなかった。今年はそういう守りきれない試合が多いが、そういう試合になった……」と元日本代表DF徳永悠平は唇をかんだ。言葉通り、FC東京は今季リーグ戦で39失点しているが、そのうち12失点が後半31分以降と終盤のもの。同比較でリーグワーストの京都、新潟の16失点や湘南の15失点ほどではないが、勝負弱さを露呈している。先制した試合は14試合あるが、こちらも8勝5分け1敗と勝ちきれないことが証明されている。
 この日は先に試合を行った神戸が清水に勝ち、勝ち点35で一時並ばれるという状況で山形戦を迎えたが、勝っていれば同3差、得失点差が10以上と、J1残留が確実といえる状況になっていた。前節・首位の名古屋に勝ち点3をつかんでいただけに悔やまれる。今野は「ほんとこの間勝って、これで離せたと思ったら、何度でもくっついてくる。(神戸は)恐ろしい存在です」と苦悶の表情を浮かべた。
 J1残留がかかる運命の一戦は、アウェーの京都戦となった。14位の仙台は、16位神戸と勝ち点差は3ながら得失点差がプラス6のため、残留の可能性が高い。事実上、神戸との一騎打ちとなるが、FC東京は勝てば文句なしで残留が決まる。今野は「俺らは一番悪い時期を乗り越えて、最近は勝ち点はまずまず奪えている。オレらは変わったと思う。だから、最後の試合で俺らの底力を見せたい」と必勝を誓った。
 大熊清監督も「まだ、うちの方にアドバンテージがある。神戸の方が苦しいはず」と言い切った。泣いても笑ってもあと1試合。“万が一”のことが起きると、首都に1部のクラブがないという異例の事態となる。そんな世界的に不名誉なことは、避けなければならない。
[写真]F東京DF今野
(取材・文 近藤安弘)

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