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シュート4本でも2得点、柏は北嶋&田中の2トップが結果出す

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[6.11 J1第14節 横浜FM0-2柏 日産ス]

 これが首位を行くチームの勢いなのか。シュート4本しか放っていない柏レイソルだが、新旧日本代表をそろえる横浜F・マリノスに2-0で勝ちきった。5日のナビスコ杯仙台戦に0-1で敗れ、流れが変わるかと思われたが、まったくビクともしなかった。

 2トップが勝負どころできっちりとゴールを奪った。まずは前半26分、右サイドからのクロスをFW田中順也が懐の深いポストプレーで収める。マーカーの日本代表DF栗原勇蔵を背負いながらも中へパスを出した。これはカットされたが、こぼれ球が再び田中の元へ。「いいところにこぼれてきた。相手も寄せてきたので、落ち着いて股の間を狙った」。左足を振り抜き、相手DFの股間を射抜いて先制点を奪った。

 次はエースだ。前半37分、右サイドからDF酒井宏樹のピンポイントクロスに、FW北嶋秀朗がダイビングヘッドで突き刺した。DF栗原勇蔵も追いつけない一瞬の動き出しだった。「一番、自分の好きな形。個人的にもすごくうれしい。しばらく点が取れてなくて、ネルシーニョ監督から変えるぞというメッセージを自分自身は受けていたので、ゴールという結果を残せてよかった」と北嶋は安堵の表情を浮かべた。

 これで田中はリーグ戦2試合連続の今季4得点目。北嶋はリーグ戦4試合ぶりの今季5得点目だった。ここまで計18得点を奪っているが、2トップで9得点と、まずまず結果を残している。北嶋は「本当にボランチとかDFラインが最後のところで体を張ってくれる姿は、僕らに勇気を与えてくれる。僕らはその頑張りを無駄にしないように、ゴールを積み重ねていきたいと思っている」とリーグ戦4試合連続無失点となった鉄壁の守備陣に応えたい気持ちが、ゴールを生んだことを強調した。

 シュート4本の内訳は、田中が2本で北嶋が2本。後半は相手の猛攻を受けたが、ボールをうまく回す時間はあっただけに、物足りない数字だ。そんな中でも勝ってしまうのは、試合運びのうまさにある。

 北嶋は「自分たちのサッカーはこういうサッカーなんだというところは、選手全員が共有できている。時間帯によってだったり、相手の出方だったりに合わせて、今は耐えるとき、今は攻めるとき、今はボールを回すときというのは、全員が同じ絵を描けてます」と胸を張る。

 この日は、前半は完全に主導権を握ったが、後半は横浜FMが長身のキム・クナンを入れてハイボール作戦を敢行。守備ラインが下がり、押し込まれる場面が増えた。それでも誰一人、慌てることはなかった。FWも2列目も、もちろんボランチも引き気味になり、連動した守備を展開。攻めあぐねても、じれずにボールをつなぎ、隙をうかがった。攻守において、全員が状況に応じて何をすべきか統一されていた。それが逃げ切りに成功した要因だという。

「僕らとしては去年J2でもそうでしたけど、1試合1試合をとにかく精一杯戦ってきて、結果、去年は2回しか負けなかった。今年もそれと同じような感じで、1試合に対して全力で、自分たちの力を全部出すという思いでやっている」

 優勝候補に挙がったと、一部報道陣に問われても、北嶋は浮かれたところはまったく見せなかった。田中も「これから連戦ですが、今のコンディションを維持して、だんだん気温も上がってきますし、いいパフォーマンスを維持できるように頑張ります」と謙虚だ。まさに一戦必勝の思いを強調し、実行しているイレブン。この快走はしばらく続きそうだ。

(取材・文 近藤安弘)

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