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[Jの新風6]MF山田直輝(浦和)

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[6.13 ナビスコ杯GL第7節 浦和6-2大宮 埼玉]

 このゲームのマン・オブ・ザ・マッチは、浦和レッズMF山田直輝で誰も異論はないだろう。

 若干18歳。166cm、64kg。ピッチ上の22選手の中では、もっとも若く、もっとも身体が小さい。しかし、誰よりも目立っていた。豊富な運動量を武器に常に動き回り、前線にいたと思ったら最終ラインに顔を出す。右MFに入ったがパスを出したらポジションに関係なく必ずフォローに回り、後半11分に交代するまで、文字通り"縦横無尽"に走り回った。

 前半の苦しい展開を打破したのも山田だった。オフサイドラインぎりぎりからPA左に走り込みMF細貝萌のパスを受けると、GK江角浩司と1対1に。すかさずシュート体勢に入ったが、すぐに違う答えを導いた。「『来た』と思ってファーサイドを狙って打とうと思ったら、GKにファーのスペースを潰された」。そう感じた瞬間に振りかぶった右足をチョコンと切り返し、あっさりと江角をかわした。そして左足で流し込んだ。「自分でも落ち着いた判断だった。今振り返って話すのは簡単だけれど、よくあの場面であそこまで落ち着いていたものだ…と、今思いました」と山田。均衡を破る見事なゴールで、6点劇の口火を切った。

 「スタメン出場は今日言われました」。山田は5月末に日本代表に初招集され、右臀部肉離れのため一時離脱。クラブに戻って調整していた。負傷選手、日本代表招集選手が多く「台所事情が苦しい」という理由で、急きょ先発出場をF・フィンケ監督から言い渡された。「練習合流もしていたし100%の状況だった。違和感があればすぐに言えと言われたが、今も全く問題ないです」。18歳で代表に初招集されても天狗になるようなこともない。「代表は行きたいけれど、まずはレッズで自分らしいプレーできれば良い。それがW杯に繋がると思う」。童顔すぎる18歳。しかしピッチ上では18歳とは思えないほど冷静沈着。今夜のサポーター達の酒の肴は、この男で決まりだ。

<写真>浦和MF山田直(34番)
(取材・文 山口雄人)

※この連載企画では、ナビスコ杯のニューヒーロー賞候補選手の中で、各試合最も活躍した選手を取り上げていきます。

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