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神戸・和田新監督、涙の1勝。初物づくしの勝ち点3!

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[8.2 J1第20節 柏0-1神戸 柏]

 ヴィッセル神戸が“三重の喜び”を味わった。前半からサイドをうまく使って柏を圧倒。後半こそ、システム変更で対応してきたため一進一退の攻防となったが、後半19分にDF河本裕之が、CKから頭で決勝ゴールを決め、1-0勝利した。5月23日のホーム・柏戦(3-1)以来となるリーグ戦7試合ぶりの勝ち点3を獲得したが、うれしい「初物づくし」で、プラスした数字以上に大きな勝利だったといえる。

 1つ目は、7月4日のホーム・FC東京戦から指揮を執っている和田昌裕新監督の下で、初勝利を挙げたことだ。指揮官は就任から5試合目でつかんだ初勝利の瞬間、人目をはばからず涙を流し、イレブンを出迎えた。

 「ここまで長かったですね。とにかく、やりがいをもって毎試合のぞんでいた。トレーニングも気持ちよくやらせてもらったし、選手も受け入れる姿勢をもってくれた。勝てようが勝てまいが、細かいことをやろう、小さなことからやっていこうと(指導した)。苦しい試合でしたが、選手には感謝したい」

 就任後、宮本恒靖をCBからボランチにコンバートしたり、選手に一層、球際でファイトするよう要求するなど、チーム改革に向け、大胆かつ細かく、あらゆる手を尽くした。この日は、指揮官の理想通り、選手が90分間、集中力を切らさず闘った。激しく競り合い、必死にボールを追った。「集中が途切れなかったから、ああいう結果が生まれた」とイレブンをたたえた。

 2つ目は、アウェーで今季初勝利をつかんだことだ。ここまで今季の敵地戦は3分け7敗。ホームでは5勝1分け3敗と、まずまずの結果を残しているだけに、アウェーでの弱さが15位という下位低迷につながっていた。

 3つ目は、今季初の無失点で完封勝利を挙げたこと。特に、両サイドバックを入れ替えた中でも0点に抑えたことは評価したい。左サイドDF内山俊彦をケガで欠いたこともあり、本来はMFの松岡亮輔を抜擢。右サイドDFには石櫃洋祐に代えてハッスルプレーが持ち味の近藤岳登を今季初先発させたのだ。

 「みんな練習からがんばってくれている。起用するなら、このタイミングだと思った。アウェーで勝てた。アウェーで失点が続いていたけど、0に抑えて勝てたから、チームにいい影響がでそう。これからますますチームはよくなると思う」

 和田監督はチームのさらなる上昇に手ごたえを得た様子だった。勝ち点を22に伸ばしたが、順位は変わらず15位のまま。ただ、10位の名古屋まで勝ち点4差、8位のG大阪まで8差と、中位との差が縮まった。ボッティや大久保嘉人、茂木弘人、宮本、石櫃ら、能力のある選手はそろっている。より機能してくれば、上位に食い込むことも夢ではなさそうだ。

(取材・文 近藤安弘)

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