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4バック?3バック?名古屋が3分間の"煙幕"で快勝

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[8.19 J1第22節 千葉0-2名古屋 フクアリ]

 名古屋グランパスが3分間の“煙幕”で試合の流れを引き寄せた。キックオフ時点ではDFバヤリッツァが右サイドバック、DF三都主アレサンドロが左サイドバックに入った4バックでスタート。しかし、試合開始から5分もたたないうちに、バヤリッツァが3バックの中央に入る3-5-2に移行した。

 ストイコビッチ監督は「システムのことは話したくない」と煙に巻いたが、MF小川佳純は「4-4-2のふりを見せて、相手を混乱させる狙いだった」と明かした。「基本的には3バックでいくという話だった」が、試合開始当初は4バックを組み、指揮官の合図で3バックに変更。立ち上がりは千葉の高い位置からのプレッシャーに押し込まれる場面もあったが、この奇策がずばり当たった。

 千葉のMF谷澤達也が「相手が4-4-2から3-5-2になって、マークがずれて、中盤で後手後手になった」と振り返る通り、徐々に千葉のプレスが空転。トップ下に入ったMFブルザノビッチへのマークも曖昧になり、パスが回るようになった。

 前半24分には小川の右クロスからこぼれ球をFWケネディが押し込み、先制点。その後も三都主、ブルザノビッチがクロスバー直撃のシュートを放つなど一気に試合の主導権を握った。

 後半は反撃に出る千葉に押し込まれる時間帯もあったが、ゴール前で粘り強く耐え、後半30分には再び小川の右クロスからFW玉田圭司が頭で合わせ、試合を決定付けた。

 2連敗を喫し、降格圏の千葉に勝ち点6差まで迫られていた中での快勝。加入後5戦4発となったケネディは「この試合の重要性は分かっていた。連敗している中で、勝ちたいという気持ちが出ていた」と胸を張った。

 前節は変則的な3トップのサイドでプレーした玉田もこの日はケネディと2トップを組み、7月25日の浦和戦(3-0)に続いて日豪代表FWがそろい踏み。「2トップでケネディと組んだ方がやりやすい」と手応えを深めた様子だ。

 新加入のブルザノビッチや三都主がフィットしていく過程での勝利。リーグ戦での巻き返し、さらには8強入りを決めているACL制覇に向け、チームが自信を取り戻す1勝になったのは間違いない。玉田は「ただの1勝だと思うし、試合はすぐある。そこで負けたら意味がないし、内容あるサッカーを続けて、勝っていきたい」と決意を新たにしていた。

<写真>選手に指示を飛ばす名古屋ストイコビッチ監督
(取材・文 西山紘平)

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