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柏ネルシーニョ効果が浸透、上昇気配!

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[8.19 J1第22節 浦和1-4柏 埼玉]

 柏レイソルネルシーニョ新監督を招聘後、初勝利を飾った。それも、MF大津祐樹が2得点するなど攻撃陣が爆発して今季最多の4ゴールを奪取。試合終了の瞬間、イレブンはピッチ上で抱き合い、歓喜の輪を作った。

 「きょうは守備陣ががんばった。うちのプラン通り。練習した通りのことが出せた。選手は戦術面の理解がいい。このチーム状態で、大事な1勝になったと思う」

 無線で指揮を執った試合を含め、4試合目で初勝利をつかんだネルシーニョ監督は、しっかりと守ってカウンターという戦術をやり通したイレブンをたたえた。順位こそ17位と変動はないが、リーグ戦5試合ぶりの勝ち点3で、16位の千葉とは勝ち点20で並んだ。15位の神戸、14位の大宮とはどちらも勝ち点差6に。強豪・浦和撃破は、降格圏脱出へ大きな1勝だった。

 「1点目はうまくしかけた? 監督が代わって、あそこは口うるさくいわれていたから決められてよかった。練習してきたことが出せた。2点目もあそこは攻撃の手を緩めてはいけなかった。チームとしてうまくいけたと思う」

 2得点を挙げた大津は何度も、練習してきたことが出せたと口にした。この日のゴールは大津の個人技が優れていたこともあるが、“ネルシーニョ効果”も大きいようだ。

 浦和は日本屈指のタレントを誇り、細かくつないで攻撃的にくる。新指揮官は練習で、守りからのカウンターを徹底してきた。MF栗澤は「浦和がボールを出し入れして、人が動いてきても、ミーティング通りだったから、どうつかむかわかっていた。ポンテに前半やられていたけど、ハーフタイムに指示が出て、後半は押さえることができた」と指揮官の指示が有効だったことを明かした。

 細かい指示は守備だけではない。攻撃面でも徹底されていた。ドリブル、スピードに優れる大津には、ペナルティーエリア付近では仕掛けることを口すっぱく指導した。大津が前半23分に挙げた先制点は、FW田中、FWポポとつながったパスに、大津が抜け出してドリブルし、決めたもの。さらに大津が決めた後半40分のチーム4点目は、前がかりになっていた浦和から中盤でボールを奪い、カウンター攻撃を仕掛けた。

 前半26分のポポのゴールは、CKキッカー役のポポがショートコーナーから、そのリターンを受けてミドルシュートしたが、これも含め3得点ともプラン通りだそうで、指揮官は「練習してきたことが出せた」と胸を張った。

 前監督時代は、選手は比較的、攻守で自由を与えらていたという。ただ、ある選手は「逆にどうしていいのかわからなくなる選手が多かった。自由にやるというのは、自分たちで考えてやらないといけないので、ある意味ではもうひとつ、上のレベルのサッカー。ネルシーニョ監督は、細かいことを指示する。うちのチームにあっているんだと思う」と明かす。攻守で仕事を細かく徹底してきたことが徐々に浸透し、この日の完全勝利につながった。
 
 「まだまだこれから前に障害がある。前を見続けて、立ち止まらずにいきたい。チームをよくするために、ハードな練習をしていきたい」とネルシーニョ監督。かつて日本代表監督候補に挙がったことがある知将だけに“初勝利”くらいで、大喜びはしない。至上命題のJ1残留に向け、さらに“ネルシーニョ・イズム”を叩き込むつもだ。

<写真>この日2得点の活躍を見せた柏MF大津
(取材・文 近藤安弘)

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