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川崎F、ボランチ中村が勝利を牽引。「鹿島には自分たちから近づく」

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[8.23 J1第23節 川崎F2-0山形 等々力]
 川崎フロンターレは、前半18分にMF谷口博之が先制弾、同23分にMF田坂祐介が追加点を奪い2-0で快勝。前節19日の磐田戦で敗れたが連敗は免れ、首位の鹿島に勝ち点差8のままで追走した。
 相手が下位の山形で、川崎F側が個人技で勝っているのもあったが、MFとDFの8人で組織的に守備網を敷いてくる相手に対し、常に試合の主導権を握った。その一つのカギが『ボランチ・中村憲剛』の復活だった。
 今季、中村は4-4-2の2列目を務めることが多かったが、この日はボランチだったMF寺田周平がベンチスタートで、中村が5月24日のF東京戦以来、約3カ月ぶりに“古巣”に復帰した。中村が下がり目に入ったことで2列目よりはプレッシャーがゆるくなり、中盤で自由にパスを回せた。FWの位置からトップ下まで下がってパスを受けにきたジュニーニョに効果的なパスを入れたり、視野の広いサイドチェンジ、スルーパスが何度も見られた。
 前半18分の谷口の先制点は、中央やや右で得たFKを、中村が間髪入れずに縦に走りこんだ谷口にスルーパス。一瞬の隙を突いた。中村は「(ファーサイドにいた)ジュニーニョとも目があったし、谷口とも目があった。うちは高い選手が多いから、長いボールを入れてくるかもと思われてるけど、たまには(低いボールも)いいかなと。狙い通りです」とニンマリだった。
 2列目がいいのか、ボランチがいいのか-。2列目なら、キープ力と高い技術を生かしてスルーパスなど、よりゴールに直結したプレーができるし、ボランチならサイドチェンジや相手の出方を見ながらのゲームメークと、また違った“色”が出せる。
 「(ボランチ中村は)いつもどうりでしたね。ビルドアップの点でよかった。ゴールシーン? 憲剛さんは、ああいうパスを狙っている。オフサイドかなと思ったけど、入ってよかった。丸刈り効果? たまたまです」と、先制弾を決めた谷口も“ボランチ効果”を口にした。 
 中村は「どちらでも、自分の特徴を出せるようにと考えている。今年のフロンターレがどうとかではなく、自分があそこに入ったら、こういうプレーをする(というのを出せた)。2つのオプションがあっていいと思う。自分としては関塚監督が使いたいほうで使ってくれれば」という。
 たしかにシーズンも終盤に入り、今後けがや出場停止でメンバーが変わることもある。また、相手に応じて試合中などに戦術を変える必要も出てくるだろう。そこで“ボランチ・中村”が、大きなオプションとなることは間違いない。
 「鹿島には自分たちから近づいていきたい。向こうから落ちてくるのを待っていてはいけない。1つ1つ、勝っていきたい」と中村。ジュニーニョ、鄭大世、レナチーニョ、矢島、黒津と豊富なFW陣をそろえるだけに、首位・鹿島の追撃はやはり、彼らを生かせる中村の活躍がカギを握りそうだ。
(取材・文 近藤安弘)

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