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鹿島、今季初の3失点&ブーイング。指揮官「サッカーはよく事故が起こる」

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[8.29 J1第24節 大宮3-1鹿島 NACK]

 王者らしさが消えていた。リーグ最少失点を誇る鹿島アントラーズだが、守備が崩壊し今季初の3失点。過去9度の対戦で7勝2分けの負けなしとカモにしていた相手に完敗し、試合後はこちらも今季初めて、サポーターからブーイングを浴びた。

 前半4分、左サイドを攻略されて、MF藤本に速いクロスを入れられた。中央のFW石原がオーバーヘッドを空振りしたが、逆サイドから走りこんできたMF内田智也に左足で先制点を決められた。DF岩政大樹は「マルキーニョスが(治療で)外に出て10人になって、みんなで守ろうという意識の統一ができなかった。ブーイングは当然だと思う。攻守においてアグレッシブさを欠いた。(鹿島が)王者ということで、相手は当たって砕けろという気持ちで来ているが、うちはそうじゃなかった」と振り返った。

 前半1分に、FWマルキーニョスが大宮ゴール前で接触プレーで倒れ、ピッチ外で治療を受けていた間の失点。DF内田篤人も「マルキが外に出て、時間(選手の動き)がちょっと止まってしまった。最近は早い時間に失点が多い。先に点がとりたいね」とうなだれた。
 
 先制されたため、同点&逆転を目指して攻撃的にいったチームは、大宮が得意とするカウンターの餌食になり、失点を重ねた。後半36分にはカウンターで左サイドを破られてクロスを入れられ、中央のラファエルから2列目のMF土岐田洸平につながり2失点目。岩政は「あそこは(点を取りに行くために)2バックになっていた。しょうがない」。いつもの老獪な試合運びは見られず、後半40分には本来は得意なはずのセットプレーで失点した。

 オズワルド・オリヴェイラ監督は「サッカーはよく“事故”が起こる。自分たちのミスから失点する。ケガ人が出て集中力を欠いていたかもしれない。相手のプランにはまってしまった」と、前半の早い時間帯での失点により、大宮のカウンター戦術にハマったことを悔やんだ。

 これでリーグ戦では、6月28日の大分戦-7月1日の名古屋戦を最後に、約2カ月間、連勝がない。「サッカーは必ずしも強いものが勝つわけではない。毎試合、完璧というのはない。シーズンを通して安定した力を出したチームが優勝する。きょうは事故の日ではないかと思う。どういう見方で報道するのかはみなさんの自由だが、ここ数試合だけを見て不調といわれるのは、不可解です」とオリヴェイラ監督は、1年を通してチームを評価するよう求めた。

 幸い、これで中断期間に入る。日本代表のオランダ遠征で主力3人が抜けるが、名将はしっかりと建て直し、再び上昇気流に乗せる構えだ。

(取材・文 近藤安弘)

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