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横浜FM、GK退場で猛追ならず。飯倉は涙の謝罪

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[9.6 ナビスコ杯準決勝第2戦 横浜FM1-1川崎F 日産ス]
 横浜F・マリノスは優勝した01年以来の決勝へあと一歩、届かなかった。一つのプレーが、大きく流れを変えてしまった。
 1-0で押せ押せ状態が続いていた中、後半42分にGK飯倉大樹の信じられない行動で、夢が消えた。
 ゴール前で笛が鳴っていたにもかかわらず、川崎FのFWジュニーニョがプレーをやめずにシュート。これを遅延行為と思い、怒りを感じた飯倉は後方から駆け寄り体当たり。ジュニーニョは倒れこみ、飯倉は一発退場となった。
 「試合に勝ちたいと、気持ちが先にいってしまっていた。1分、1秒でもムダにしたくないと思って。。。 外国人選手だから、時間を稼ぐというのは分かっていたんだけど。。。 冷静さを欠いていた。試合に水を差してしまった。このチームにかかわる選手、スタッフ、サポーターに申し訳ない。みんなの信頼を取り戻せるようにやっていきたい」
 飯倉は目を腫らして、反省を口にした。試合後、ロッカールームでチームメイトに涙を流しながら謝罪したという。マッチコミッショナーにも呼び出され、状況を説明した。本人が言うとおり、この退場劇は大きかった。
 第1戦に0-2で敗れていたため、決勝進出には3-0や4-1で勝つか、最低でも2-0で勝利したうえで延長戦、PK戦に持ち込む必要があった横浜FM。パワープレーを多用し、猛攻撃を仕掛けた。
 後半23分、山瀬功治がPKを決めて先制。おまけにPKをもらうことになったファウルを犯した川崎FのDF井川祐輔が退場し、1人多い優位な状態になった。以降、ゲームを支配し、追加点が入りそうな気配があった。
 
 しかし、飯倉の退場で流れが激変。すでに交代枠を使っていたため、GKは何とMF水沼宏太が務めた。ロスタイムにジュニーニョに同点弾を決められ、万事休した。
 「飯倉に関しては、ああいう場面で冷静になれるGKでなければいけないと思う。彼にとっても、ぼくにとっても、サポーターにとっても、クラブにとっても大きな痛手になったが、彼1人を責めるわけにはいかない。彼自身が一番反省している。彼を弁護するわけではないが、彼くらい勝ちたいという気持ちは全員が持っていてくれていたはず。榎本も一度、優勝のかかる大事な試合で退場となって、そこから大きく成長した」
 木村監督は飯倉をかばった。優勝がかかった03年の第2ステージ最終節の磐田戦で、GK榎本哲也が前半のうちにFWグラウと小競り合いを起こし退場したシーンを持ち出し、奮起を促した(結果は試合に勝ち、優勝)。まだ23歳の若き守護神。この過ちを肥やしとし、クラブの大先輩、松永成立や川口能活のような“大守護神”に成長したい。
(取材・文 近藤安弘)

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