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山形は“元柏トリオ”の奮闘で“残留M1”

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[10.24 J1第30節 柏0-1山形 柏]
 プロとしての仕事に徹した。試合を決めたのはMF宮沢克行のゴールだったが、GK清水健太、DF小林亮、FW長谷川悠の“元柏トリオ”が心を鬼にして奮闘。勝ち点3に貢献し、J1残留に“青信号”をともした。
 「柏は育ててくれたクラブなんで、下手なプレーは見せられないという思いでやりました。複雑な心境はあったけど、それはしょうがないこと。自分たちのことを考えると、0に抑えて勝たないといけなかった。割り切ってやれました」
 スーパーセーブを連発したGK清水が心境を吐露した。千葉県生まれで、松戸市立松戸高卒。00年に子供のころから憧れだった柏に入団。山形に加入する05年途中までプレーした。お世話になったスタッフらがいる愛着ある古巣戦で、複雑な思いもあったが“錦”を飾った。
 後半25分、たて続けにピンチを救った。ゴール右のFKから、FW北島にヘディングシュートを打たれたが、何とか外へ弾いた。直後のCKからはDF近藤にヘディングシュートされたが、ポストに体をぶつけながらセーブした。後半は柏の猛攻を浴び続けたが、ハイボールもしっかりと処理し完封。小林監督も「GKのシミケンが大活躍してくれた」と評価した。
 小林と長谷川にとっては、さらに複雑な状況だった。清水は山形に完全移籍しているが、2人はともに柏からのレンタル移籍で加入。まだ柏との契約は残っている。もし、柏がこのままJ2に降格した場合、自らの力で降格に追い込んでしまったチームでプレーするという可能性もある。それでも小林は左右のSBを務め、体を張ってゴールを守った。長谷川も長身を活かしたヘディングシュートを中心に、チーム最多の4本のシュートを放つなど古巣を脅かした。
 小林は「しょうがないと割り切っていた。プロである以上、しかたがない。チームのために勝ててよかった」といい、長谷川は「高校のときからレイソルはあこがれのクラブだった。少し複雑でしたけど、正直なことをいえば、自分も1点とって、サポーターやレイソルのみんなに、成長した姿を見せたかった」と話した。
 残り4試合を残して勝ち点37となり、16位の柏とは勝ち点差が10に広がった。山形はあと1勝すれば無条件でJ1残留が決まる。次節、仮に引き分け以下でも、柏が引き分け以下なら残留決定と、かなり安全圏に。だが3人は、気持ちを緩めることはない。古巣を下した思いを今後にぶつけ、さらに上を目指す。
<写真>山形GK清水
(取材・文 近藤安弘)

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