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川崎Fは“不吉な7-0勝利”も「2年前と違うところ見せる」

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[10.25 J1第30節 川崎F7-0広島 等々力]
 川崎フロンターレは攻撃陣が爆発し7-0大勝。初のリーグ制覇に前進した。シュートは全29本放ったが、特にジュニーニョ、鄭大世レナチーニョの前線3選手が7本ずつの計21本と、今後にプラス材料となる攻撃を仕掛けられた。
 前半18分にFWジュニーニョのゴールで先制。同25分に広島DF森脇良太が退場し相手が1人少なくなったことで終始、川崎Fが圧倒した。後半、FW鄭大世中村憲剛、新人FW登里享平ら一挙6得点と大爆発。1試合7得点は07年以来となるチーム最多タイ記録だ。
 「今週1週間、対広島で練習してきた。ところどころやられたとこがあったが、想定の範囲内だった。集中を切らさず大勝? 首位を守るとかではない。自分たちは何も手にしていないから、奪いにいこうと(いう気持ちだった)。貪欲に勝ち点3を奪いにいった」と日本代表MF中村憲剛。悲願の初優勝へ向け、チームが集中していることを明かした。2点を決めて16得点とし、得点ランク2位に浮上したFWジュニーニョも「スピリットだ。みんなが強い気持ちで戦った結果だ」と、当然とばかりに胸を張って見せた。
 残り4試合、初のリーグ制覇に向けて優位な状況に立った。勝ち点は55と2位の鹿島に1差だが、得失点差は22で鹿島よりも9多くなかった。さらにその4試合の対戦相手は千葉、大分、新潟、柏だ。大分はすでに降格が決定。柏も対戦時には降格が決定している可能性がある。
 対する鹿島は山形、京都、G大阪、浦和と強豪との対戦を残す。勝ち点51で3位のG大阪も京都、清水、鹿島、千葉と上位陣との対戦が控えている。試合には何が起こるかわからないとはいえ、状況を見る限り、川崎Fが有利といえだろう。
 ただひとつ、“不吉”な要素がある。7-0というスコアとナビスコ杯だ。「試合後のロッカーでも話したけど、2年前と違うところを見せようと。この得点に浮かれることなくやって、ナビスコに優勝しようと話し合った」と中村憲剛。川崎F選手や関係者、サポーターには嫌な記憶として残っているかもしれないが、2年前の07年シーズンに悪夢を経験した。
 今季と同じくナビスコ杯の決勝に進み、その直前の試合となった10月28日のリーグ戦・F東京戦に7-0で大勝した。チームはこの勢いで-と盛り上がったが、G大阪との決勝は0-1で敗戦。選手たちはなんとも言えない悔しさを味わった。GK川島は「みんな忘れていない。そのイメージを払拭したい。(決勝では)これまでの経験が生きてくると思う。悔しい思いをナビスコ杯にぶつけたい」と強い決意を語った。
 当然ながら、チームは当時よりも成長している。この日の広島戦でも数的有利になりながらも先制後は攻め手を欠いたが、ハーフタイムに中村憲剛を中心にチームで話し合って、戦略を練り直した。4月の対戦ではこの日と同様に10人と一人少ないながら引き分けに持ち込まれたが、今回は後半に6得点を奪う大勝へ。関塚監督も「チームの成長の跡がみられる」とたくましくなった選手たちに目を細めた。
 「全力を出せば、勝てる。チームみんなでひとつになって(ナビスコ杯もリーグ戦も)戦いたい」と鄭大世。悪夢は自らの力で払拭してみせる-。川崎Fはチーム一丸で、ナビスコもリーグも奪いに行く。
<写真>サポーターに挨拶をする川崎Fの面々
(取材・文 近藤安弘)

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