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“陰のMVP”権田、強力攻撃陣をシャットアウト

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[11.3 ナビスコ杯決勝 F東京2-0川崎F 国立]

 J1でトップの57得点を挙げて順位も首位、その攻撃力を武器に襲い掛かってきた川崎F攻撃陣の前に20歳の守護神が立ちはだかった。FC東京のU-20日本代表GK権田修一は相手に計17本のシュートを放たれながらもビッグセーブを連発。記者陣から「MVPでも・・・」との声も上がったほど、その安定感と存在感は際立っていた。
 
 前半11分、FWレナチーニョの右足シュートが鋭く変化しながらゴールを襲うが、権田が横っ飛びでゴールの外へはじき出す。すると、19分にもスルーパスで抜け出してきたMF谷口博之との1対1を思い切った飛び出しでストップ。直後のMF米本拓司の先制ゴールを呼び寄せた。
 後半だけで11本放たれたCKやクロスなど次々とゴール前へボールを送ってくる川崎Fの攻撃にも集中力を切らさず。また後半12分の鄭大世の至近距離からのシュートや、枠を捉えたMF中村憲剛の右足ミドルも全て枠からはじき出し、強力攻撃陣をノーゴールに封じ込んだ。

 権田は試合後「疲れました。(普段の試合では)あれほどシュートが飛んでくることがなくて、みんながその前に防いでくれていたけど。それでも最後みんなマーク外れていなかったし、しっかりやってくれているから大丈夫かなと。これだけ攻められてもシュートが自分達の2倍くらい(計17本)ですんだのは、ボランチを含めてみんなボールにいってくれていたからだと思う」と仲間の堅守を讃えていた。

 F東京U-18に所属していた5年前の初優勝時は通っていた高校の文化祭のためにチームの優勝を生で見ることができなかった。ただ、この日は守備の中心として、ピッチ上で優勝に貢献。「相手をゼロに抑えたのは自信になった。こういう試合でこういうサッカーができたのは成長できたからだと思う」。
 昨秋、U-19日本代表の主将として臨んだAFC U-19選手権は準々決勝で韓国に敗れ、U-20W杯出場権獲得を失敗。涙にくれたGKは1年後、F東京の守護神に成長し、チームを日本一へ導いた。ロンドン五輪世代の日本代表としても期待のかかる守護神は、チームで掴んだ自身初の栄冠に誇らしげな表情だった。

<写真>F東京GK権田
(取材・文 吉田太郎)

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