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W杯監督インタビュー:南アフリカ代表カルロス・アルベルト・パレイラ

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W杯出場チーム監督インタビューの第13回目は開催国、南アフリカを率いるカルロス・アルベルト・パレイラ監督に取材を敢行!!

―今回のW杯の開催国南アフリカのグループ分けについて、ご不満なようですね?
「はっきり言えることですが、最も厳しいグループです。8つのグループのうち、よりによって、このグループにだけW杯での優勝経験のある2チーム(フランスとウルグアイ)が入っています。『死のグループ』だとは言いませんが、今回のW杯では実力が最も拮抗しているグループです。これは私にとっては挑戦です。もし最初の試合に勝てれば当然有利ではありますが、3試合とも普段以上に実力を発揮しなければなりません。さもなければ、メキシコに勝ったとしても、ウルグアイとフランスに負けてしまい、あっという間にグループリーグ突破が難しくなります。我々の目前には“エベレスト”が立ちはだかり、ここを登頂するには情熱と緻密な計画が必要だということです」

―チームの今の準備状況には満足していますか?
「満足しているとは言えません。それは、チームには常に向上できる余地があるからです。我々監督の仕事は、この『余地』を探すことです。私に言えることは、これまではすべて計画通りに進んでいるということです。まず南アフリカ国内の選手により構成されたチームでトレーニングを行いましたが、プラス効果があることが証明されています。マイナス面は、あの段階から国外でプレーしている選手にも参加してほしかったことですが、残念なことに、彼らの所属するクラブが許可しなかったために我々としては、どうすることもできませんでした。現時点での条件を踏まえて準備を始めるしかありません。
最も重要なのは、これらの国内選手から代表チームの母体を選んでおき、国外選手が到着した後、素早く合流させることだと考えていました。これは一つのプロセスです。家を建てるのに良く似ています。屋根もないのに家具を運び込むことはできません。一つずつ順番にやらなければなりません。しかもこのプロセスには、忍耐とテクニックが必要なのです」

―国外選手の話が出ましたが、国外でプレーしている南アフリカの選手が所属クラブでは主力選手ではないことが懸念されているのではないですか?
「これは我々の最大の悩みです。比較すると、フランス代表は、少なくとも15名の選手が国外におり、なおかついずれも所属クラブの主力選手となっています。しかし、我々の選手は主力選手でないため、国外でプレーしていると言っても試合に出るチャンスは少なく、招集をかけたときに体力と試合準備の両面で問題が出てくる可能性があります。これらの選手がクラブの試合にコンスタントに出場していれば私としても非常にやり易いのですが、この問題は私では解決できません。この現実と向き合って準備をしなければなりません。W杯には、適した選手が必要です。例えば、スティーブン・ピーナールは問題ありません。彼はイングランド・プレミアリーグで、コンスタントに試合に出て活躍していますから、コンディションを整えるためのサポートを必要としません。もっとピーナールのような選手がほしいですね。他の例としては、ベネディクト・マッカーシーの例があります。彼は南アフリカ代表のスター的存在のフォワードですが、このシーズンはずっとケガに悩まされてきました。彼がW杯のために準備をするのをサポートしてやらなければなりません。マッカーシーは南アフリカ代表にとって非常に重要です。彼は能力の高いFWで、天性の才能を持つ選手です。彼とは何度か話をしましたので、彼は、私が期待していることは何か、わかっています。W杯開催期間中には、コンディションを整え、集中力のあるマッカーシーが必要なのです。彼は南アフリカサッカー界の重要な財産ですから、彼を軽視することはできません。彼は試合に出場しなければなりませんし、W杯開催時にはさらに切れ味の良いプレーをしなければなりません。彼に対する私の評価が非常に高いことは分かると思います。彼は南アフリカ代表の中で最も優れた“最後の切り札”なのです(しかし最終メンバー登録時にマッカーシーは選外となった)」

―若きFWカーミット・エラスムス(オランダ2部エクセルシオール所属の19歳FW)がマッカーシーの代わりになると言う見方もありますが、彼に対する評価は?

「彼は非常に若いです。国際的な最高レベルの試合に出たことのない若者に代表の問題を解決させようとするのは、私から見れば不公平です。彼は南アフリカ代表のために何回試合に出たでしょうか。一部の人は自分の考えを述べるとき、ロジック的に不合理ですし、全体を考慮していないということが問題であると思います。私はこの若者が好きです。彼には潜在的な力があると思いますが、まだ若すぎる。彼がプレッシャーを感じる状況は、彼にとって不公平だと思います。まず彼の成長を待つべきでしょう。彼にはより多くの試合経験が必要です」

―W杯の開催国として、南アフリカ代表は非常に大きなプレッシャーを感じていると思いますが、このプレッシャーをどのように捉えていますか?
「まず、選手たちは何をすべきかわかっていると思います。ホームグランドでW杯を戦うのは非常に難しいです。この質問を彼らに問う必要はありませんし、もしそうしたら選手に更なるプレッシャーをかけることになります。選手たちは自分のやらねばならないことが非常に難しいことであることも良くわかっています。南アフリカ代表にとって、W杯を戦うことは容易ではありませんが、今回のW杯では必ず好成績を収めなければなりません。我々は気持ちをしっかり整え、必ず勝つのだという自信を持たなければなりません。我々が成功するはずがないと言う人も多いですが、一人一人の意見を全部聞く必要はないのです。やるべきことに気持ちを集中させれば、グループリーグを突破することができると思います。私は我々ならできると信じています」

(取材・文 馬徳興・傅亜雨?殘・・・・詞・・・洫

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