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[FCWC]持前のサッカーをさせて貰えず、アルアハリが姿消す

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[12.13 FCWC準々決勝 アルアハリ2(延長)4パチューカ 国立]

 FIFAクラブW杯(FCWC)の準々決勝が13日行われ、アルアハリ(アフリカ代表/エジプト)がパチューカ(北中米カリブ海代表/メキシコ)に2-4の逆転負けを喫し、トーナメントから姿を消した。
 "アフリカ最強"と言われるアルアハリはFCWC史上最多となる3度目の出場。初出場した05年は2戦2敗で最下位。2度目の出場となった06年は準決勝でインテルナシオナル(ブラジル)に敗北したものの、3位決定戦ではクラブ・アメリカ(メキシコ)を下し見事3位に輝いたキャリアを持つ。そして3度目の今年、更なる飛躍を見据えて初戦となる準々決勝に臨んだ。
 しかし、その意気込みに対して結果がついてこなかった。エジプト代表で主将を務めるMFアフメド・ハッサンを中心とした組織的な攻撃サッカーはパチューカに見事に封じられた。「相手を分析していたし相手の出方は分かっていた。スペースはないだろうと予測していたから、カウンター狙いで勝ちに出ようと考えていた」。マヌエル・ジョゼ監督がそう振り返ったように、アルアハリは前半からボールを奪ってカウンターアタックに転じた。そして、「アフリカのジダン」ことFWモハメド・アブータリカを起点に、前半28分と44分に2得点の先制に成功。見事なパスワークを生かした流れるような攻撃だった。しかし後半2分にパチューカに得点を許すと、完全にペースをつかまれゲームを支配されてしまう。パチューカにリズムを掴まれると高い個人技を生かしたドリブルで突破され、反則を犯す。そしてFKを与えてしまいFWクリスティアン・ヒネメスに同点弾を喰らった。チームが悪循環に陥ると、延長戦には更に2得点を決められ、アルアハリの組織サッカーは崩壊した。
 「後半の2点、延長戦の2点はうちのミスからやられた。いつものレベルのプレーが出来ていなかった。選手のメンタルが未熟ということもある、焦ったDFが破綻した」。指揮官は敗因をそう分析すると、続けて「このチームは今回マスコミから凄いプレッシャーをかけられて日本に来た。エジプトのサッカーを世界に見せつけろとか、絶対優勝とかね。国や大陸では数々のタイトルを取ったが世界大会ではまだ実力を出せないレベル」。そのように選手のメンタルの弱さを嘆いた。アルアハリは国内リーグで4連覇するなど敵なしの状態が続いた。06年7月に敗れるまでは78戦無敗という大記録を樹立。カップ戦やCAFチャンピオンズリーグのタイトルも入れると100を超えるタイトルを誇り、エジプト代表選手が10人以上いる。そんな常勝軍団だったが、思わぬ落とし穴にはまった。「みんなの"らしさ"が出ていなかった。前回のFCWCでもプレッシャーに負けたところがあった。パチューカは我々から4点もとった。勝って当然だ」。指揮官はそう話した。アルアハリは18日、ガンバ大阪とアデレード・ユナイテッドの敗者と5位決定戦を戦う。そこでメンタルの強さ、アルアハリの組織サッカーを改めて見せてほしい。

<写真>先制直後のアルアハリ。地面に伏して喜んでいるのはMFアブトレイカ
(取材・文 山口雄人)

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