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Jを目指せ! by 木次成夫

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第52回 全国地域リーグ決勝大会特別編「決勝ラウンド」2日目
by 木次成夫

12月1日 
[第1試合] 
ファジアーノ岡山 0(PK2-4)0 バンディオセン神戸 

ファジアーノはFW朝比奈祐作に代えてジェフェルソン、右MF臼井仁志に代えて弦巻健人を先発起用。“188㎝”のジェフェルソンを起用するということは、「クサビ」としてのプレーに期待するということ。意図が明確ゆえに、バンディの選手たちからすれば、“変幻自在の”朝比奈より、対応しやすい面もあったかもしれません。

バンディはMi-O戦と同じスタメンで臨みました。森岡茂(34歳、元G・大阪)はじめ、スタメン中7人が昨年も在籍していた選手です。チーム全体的に安定感があるのは武器ですが、新進気鋭の選手が台頭しないなど、良い意味で期待を裏切るパフォーマンスは、あまり期待できません。

試合は拮抗した展開になりました。シュート数こそ、ファジアーノ16本、バンディ12本と、多かったのですが……。全盛期に比べると太ったジェフェルソンは際立てず、バンディはエースFW西村完爾がケガで「決勝ラウンド」を欠場した影響で、迫力不足。また、双方のGKが好セーブを見せたこともあり、無得点のまま試合終了。PK戦はファジアーノが2人失敗したのに対して、バンディは全員が成功。バンディは2戦連続のPK勝ちです。

バンディが選手を3人交代させたのに対して、ファジアーノは1人も交代しなかった点が不思議でした。左SBの池松秀明(21歳、前・京都)、左サイドアタッカーの川原周剛(主将=27歳、前・三菱水島FC)ら、初戦のNW戦に比べると、キレが悪かったのですが……。試合運び全体的に、改めて、中国リーグでは“超”強豪ゆえに、互角あるいは、それ以上のチームとの戦い方に慣れていないと感じました。

[第2試合]
ニューウェーブ北九州 0-1 FC Mi-OびわこKusatsu

Mi-Oは前半28分に、CKを浦島貴大(19歳、滋賀県立北大津高校卒1年目)がヘディングでゴール。後半14分にCB波夛野 寛(23歳、22歳、前・天理大学)が2枚目のイエローカードで退場したものの、持ち前の粘りで勝利を飾りました。対するNWは組織的に安定していたものの、プラスアルファがありませんでした。FW藤吉信次(37歳)、左SB小野信義(33歳)、ボランチ桑原裕義(36歳)、GK水原大樹(32歳)らベテランが目立っている点が問題なのかもしれません。つまり、若手と中堅が際立った活躍をしていないとうことですから。

3戦目に向けて、Mi-OはCB波夛野が出場停止ながら、本来のレギュラー、石沢典明(NW戦出場停止)が出場できるので、問題はないでしょう。交代出場で左SBに入った枡田雄太郎(22歳、前・大阪商業大学)が負傷するなど、不安材料もありますが、攻守の要のボランチ2人、MF金 東秀(23歳、前・大商大)と若林令緒(29歳、前・バンディ)が健在な点は大きな武器です。また、急成長中の浦島貴大が左SB,ボランチ、CBをこなせることを証明した点も好材料。「全体的に気持ちが入りすぎて、不用意なファールや危険なプレーが多かった」(戸塚監督)という課題を克服すれば……。もし、Mi-OがJFLに昇格すれば、戸塚監督は昨年の岐阜に続いて2連連続の快挙です。

ちなみにMi-O。相変わらず、太鼓など”鳴り物“を使うサポーターは0人。応援しているのはチーム関係者(あるいは、その知り合い)など、4チーム中、際立って少数です。実践しているサッカーは非常に魅力的なのですが……。例えば、滋賀県草津市役所で応援団を作ってくれないものでしょうか? 

さて、2試合を終えた時点の順位は以下の通り。
1位=Mi-O(勝ち点4)=1勝1PK敗=得失点差+1
2位=バンディ(同4)=2PK勝=同+-0
3位=ファジアーノ(同3)=1PK勝1PK敗=同+-0
4位=ニューウェーブ(同1)=1PK敗1敗=同-1

初日を含めて4試合中3試合がPK戦突入。3日目(最終戦)を前に、全4チームとも1位になる可能性もある一方で、最下位もありえる状況になりました。

3日目の組み合わせは
第1試合 ファジアーノ対Mi-O
第2試合 NW対バンディ

そもそも3連戦という日程に無理があるのに、この熾烈さ――。その上、「Jを目指す」クラブの選手にとっては、今後のサッカー人生を大きく左右するかもしれない大事な大会です。サッカーのレベルにすれば、日本で最も過酷な大会だと思います。

第1試合は11時キックオフ、第2試合は13時15分キックオフ。ちなみに、JFL最終節は13時キックオフ。3位の可能性があるチーム関係者は、アルテ高崎対FC岐阜(群馬県高崎市で開催)などの状況が気になるでしょう。岐阜が5位以下になれば、3位チームもJFL自動昇格になるのですから。

以前にも書きましたが、アルテにとって、岐阜戦は「負けたほうが得をする」可能性が高い点で、前代未聞の試合です。負ければ「JFL残留」、勝てば「入れ替え戦」になるかもしれない状況で、全力で戦う選手がいるでしょうか? 

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