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Jを目指せ! by 木次成夫

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第80回「四国リーグ カマタマーレ讃岐『首位で』折り返し」
by 木次成夫

カマタマーレは一昨季、南国高知FCを勝ち点差2で凌いで、リーグ優勝を達成しました。しかしながら、昨季はヴォルティス・アマ(現・2nd)と勝ち点差3の2位。ヴォルティスとはホームで3-3の後、アウェーで0-3。05年まで5連覇を達成していた南国高知が停滞する一方で、Jリーグ・クラブ下部組織が台頭した結果、四国リーグは新たな「二強」時代に突入しました。

●07年リーグ結果
優勝 徳島ヴォルティス・アマ(勝ち点40)=13勝1分け
2位 カマタマーレ讃岐(同37)=12勝1敗1分け
3位 南国高知FC(同30)=10勝4敗
4位 三洋電機・徳島(同21)
5位 ベンターナAC(同14)
6位 しまなみFC(同10)
7位 徳島コンプリール(同9)
8位 三和クラブ(同4)

今季に向けて、カマタマーレの「改革」は迅速でした。まず、TV解説などで有名な羽中田昌氏(写真)の監督就任を発表。チームの運営母体を株式会社化し、練習を夜間から昼間に移行。その結果、昨季の主将、「四国リーグ随一のファンタジスタ」小出保広(31歳=会社員、高校時代は藤本主税=現・大宮と同級生)ら10人が退団しました。

新加入選手はJリーグ合同トライアウトに参加していた以下4人を含む、12人。

MF岡本竜之介(23歳、玉野光南高校→G大阪→ヴォルティス)
MF吉澤祐哉(22歳、鹿島Y→鹿島)
DF初田真也(24際、初芝橋本高校→神戸国際大学→水戸)
FW岩舘侑哉(23歳、川崎U-18→水戸)

6月1日 四国リーグ7節
カマタマーレ対ヴォルティス2nd

6節を終えた段階でカマタマーレは6連勝(42得点、3失点)、ヴォルティスは1試合未消化で4勝1分け(28得点2失点)。カマタマーレにとっては、“この試合に勝てば、リーグ優勝に向けて圧倒的有利になる”状況でしたが、結果は0-0。今後、順当に行けば、優勝争いは最終節(11月2日)、ヴォルティス・ホームの直接対決に持ち込まれます。

ヴォルティス戦の出場メンバーは、以下の通り
GK堀之内 健介(25歳=2年目、前・アルテ高崎)
DF小林雄太(24歳=今季加入、前・バンディオンセ神戸)
DF吉澤祐哉
DF相原 央(23歳=2年目、前・静岡産業大学)
DF土岐勇人=主将(25歳、前・高知大学)
MF下平智久(23歳=今季加入、前NBU VALENTE2007)
MF綱田大志(24歳=2年目、前・鹿屋体育大学)
MF三ヶ崎伸穂(26歳、前グルージャ盛岡)
FW脇坂仁智(24歳=2年目、前・鹿屋体育大学)
FW森田栄治(24歳、前・東海大学)
FW尾上勇也(23歳=2年目・前ヴォルティス)

交代出場
DF泉谷光紀(24歳=2年目、前・愛媛)
MF岡本竜之介

今季9ゴールを決めている岩館は怪我で欠場するなど、「ベストの布陣」ではありませんでしたが、ポゼッション重視のスタイルは、スペイン留学経験もある羽中田氏“ならでは”だと、感じました。

「引き分けに終わって残念だが、内容的には満足している部分の方が大きい。考えて、駆け引きして、意図を持って(相手を)崩そうとしていた」(羽中田監督)

今季のカマタマーレは、チームとしては「大強化」とはいえ、町田ゼルビア、ツエーゲン金沢など地域リーグ強豪に比べると、全体的に小粒な選手が揃っています。ただ、だからこそ“ポゼッション・サッカー”を熟成していくことが勝機につながるのだろうとも思いました。“優れた個人に依存して勝つ”サッカーは、“より優れた個人に負ける”サッカーです。カマタマーレに限らず、ポゼッション重視スタイルは、一見、積極性に欠けると思うかもしれませんが、「地域リーグで苦戦したとしても、上でも粘れる」サッカーです。

また、成長段階世代が多いということは、どこまで伸びるかは未知数だということ。例えば、ボランチの下平。日本文理大学を卒業後、同大学生とOBで構成するチーム(大分県リーグ)でプレー。Jクラブのセレクションには落選したものの、羽中田監督の目にとまって、加入したとか。力強く、かつ、的確にボールを捌くプレーは、カマタマーレの“FCバルセロナ風サッカー”にピッタリで、かつ、効いています。

スペイン・バルセロナの“エスパニョール”など、資金力で劣るチームが健闘する様を見てきた、羽中田監督“ならでは”の見識とも言えるでしょう。

ちなみに、カマタマーレは「プロ選手」6人で、他はアマチュア。下平は「アパレル関係で販売の仕事をしています。自分で探しました」とか。クラブ側が雇用斡旋しなくても、選手が集まるのは、四国随一の都会“ならでは”ですが、様々なスポーツ・クラブ(チーム)が割拠しているため、カマタマーレがスポンサー獲得面で苦戦しているのも、事実だと思います。

●香川オリーブガイナーズ(野球、四国・九州アイランドリーグ)
●高松ファイブアローズ(男子バスケットボール、bjリーグ)
●四国Eighty 8 Queen(女子バレーボール、チャレンジリーグ、監督は元・全日本監督の米田一典氏)。
●サーパス香川アイスホッケー・クラブ(日本リーグWEST DIV)

ただ、見方を変えれば様々なスポーツの醍醐味を身近で感じられる点で、相対的に“最高の県”といっても過言ではないと思います。名物・讃岐うどん同様に、相対的大衆的金銭感覚で、(様々なスポーツも)楽しめる環境になりつつあるわけですから。将来のスターを夢見る子供にとっても、願ってもない環境です。

今後は、それぞれが連係して、例えば“野球がアウェー”の日は、“サッカーはホーム”といった具合にスケジュール調整をすることができれば良いのですが……。ちなみに、今季からカマタマーレはリーグ戦を有料(500円。高校生以下無料)にしましたが、ヴォルティス戦の観衆はクラブ史上最高の1565人。中には、ヴォルティスのトップが、アウェー(水戸戦)の翌日だったためか、数十人のヴォルティス・ファンの姿も――。

例えば、地元マスコミの事前報道が盛んとは感じられない地域ゆえに、徐々に盛り上がってきている状況に驚きました。「本日、一大決戦」といった記事やTVニュースがあれば、ファンは“さらに”増えると思います。

▼Jを目指すクラブの動向

●東北リーグ1部
(6月1日)
FCプリメーロ 0-5 グルージャ盛岡(昨季優勝) 
仙台中田クラブ 3-1 ビアンコーネ福島(今季昇格)
*グルージャは3勝1分けで暫定首位。ビアンコーネは1勝4敗

●東北リーグ2部南ブロック
(6節、1日)
福島ユナイテッドFC(昨季2位) 5-1 マリソル松島 
*福島ユナイテッドは、旧・ペラーダ福島(昨季2位)=開幕6連勝=首位

●関東リーグ
(後期1節、5月31日)
厚木マーカス(今季昇格) 1-1 町田ゼルビア(昨季優勝)
*ゼルビアは7勝1分け(勝ち点22)。2位はホンダルミノッソ狭山(勝ち点15)

●北信越リーグ
(6節、1日)
ツエーゲン金沢 1―3 長野パルセイロ 
ジャパン・サッカーカレッジ 2-0松本山雅FC
グランセナ新潟 4-0 フェルヴォローザ石川・白山FC
サウルコス福井 3-3 ヴァリエンテ富山

順位
1位=パルセイロ 勝ち点16(5勝1分け)
2位=ツエーゲン 同15(5勝1敗)
3位=ジャパンSC 同13(4勝1敗1分け)
4位=山雅 同8(2勝2敗2分け)
5位=グアンセナ 同7(2勝3敗1分け)
6位=サウルコス 同5(1勝3敗2分け)
7位=ヴェリエンテ 同4(1勝4敗1分け)
8位=フェルヴォ 同0(6敗)

●北信越リーグ2部
(6節、1日)
アンテロープ塩尻 1-1 上田ジェンシャン 
*首位=ジェンシャン(5勝1分け)、2位=アンテ(4勝1敗1分け)

●中国リーグ
(8節、1日)
デッツォーラ島根 1-4 フジタSC
*島根は、旧・セントラル中国(昨季2位)。首位=レノファ山口(勝ち点17=5勝2分け、1試合未消化)。島根は5位(勝ち点11)

▼JFLの結果&順位は↓
JFL前期:結果&順位表

▼「Jを目指すクラブ」情報は↓
「リスト&記事リンク」

※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

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