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Jを目指せ! by 木次成夫

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第84回「北信越“波乱”」
by 木次成夫

JFL昇格の登竜門、全国地域リーグ決勝大会出場チームが決まり始めました。

関東リーグ1部
(後期5節、6月29日)
Y.S.C.C. 1-4 町田ゼルビア 
*ゼルビアは10勝2分け。2節を残して、2連覇達成。

関西リーグ1部
(11節、29日)
バンディオンセ加古川 3-1 三洋電機洲本
*バンディは11連勝。3節を残して、4連覇達成。

ゼルビアは2年連続出場で、昨季は一次ラウンドでバンディに次ぐ2位。バンディは4年連続出場で、昨季は決勝ラウンド4位(1位=ファジアーノ岡山、2位=ニューウェーブ北九州、3位=MIOびわこ草津)。

他地域の「Jを目指すクラブ」の成績を見ると、グルージャ盛岡(東北1部)、カマタマーレ讃岐(四国)、V・長崎(九州)など、有力チームは比較的順当にリーグを戦っています。そんな中、北信越リーグでは、昨季優勝の松本山雅FCの連覇が絶望的になりました。

●北信越リーグ1部
(9節、29日)
松本山雅 3-4 グランセナ新潟 
長野パルセイロ 7-0 サウルコス福井 
ジャパン・サッカーカレッジ 6-1 フェルヴォロ-ザ石川・白山FC
ツエーゲン金沢 5-0 ヴァリエンテ富山 

首位=パルセイロ(勝ち点23、得失点差+34)
2位=ジャパンSC(同22、+21)
3位=ツエーゲン(同21、+27)
4位=山雅(同12、+3)
5位=グランセナ(同11)
6位=ヴァリエンテ(同7)
7位=サウルコス(同6)
8位=フェルヴォ(同0)

残り5試合。上位陣との対戦は山雅3試合で、グランセナ2試合。つまり、山雅は5位に落ちる可能性もあります。

6月29日、松本山雅対グランセナ新潟

「トップ新潟」という名称だったチームを、サッカースクールとサッカー場の運営をする会社が引き継ぎ、07年から「グランセナ新潟」になりました。昨季は2部優勝。今季はジャパンSCに5-3で勝った他、ホームでの山雅戦に1-1で分けるなど、健闘しています。

山雅戦のスタメン
GK宮内一磨(21歳=今季加入、前・アルビレックス新潟シンガポール)
DF斎藤尚志(22歳、前NIIGATA JSC=ジャパンSCの下部チーム)
DF島田洋介(27歳、前・新潟ナポリFC)
DF村田 桂(25歳、前・順天堂大学)
DF佐藤 宗(25歳、前・順天堂大学)
MF涌井良太(23歳、前・帝京大学)
MF内山雅之(30歳、前・新潟ナポリFC)
MF本間 仁(24歳=今季加入、前・新潟大学)
FW小林浩孝(26歳、前ASラランジャ京都)
FW坂爪友樹(25歳=今季加入、前・新潟TFC)
FW吉沢祐介(23歳、前・新潟経営大学)

交代出場
FW角山 伸(23歳、前・アルビレックス新潟シンガポール)
FW坂本和也(22歳、前・CUPS NIIGATA=ジャパンSCの下部チーム)
DF池田良平(25歳、前・新潟TFC)

サッカースクールなどでコーチを務めている選手は少数派で、多くは独自に仕事をしているアマチュアだとか。昨季の主力が中心になっているためか、チーム全体にまとまりがありました。補強が良い結果に結びついていない山雅とは対照的です。

試合経過

3分 1-0
高沢尚利(山雅)
*サイドMF竹内優(2年目、前・駒沢大)のクロスを、前節のフェルヴォ戦でも活躍したボランチ高沢(2年目、前・青山学院大、浦和レッズ・ユース出身)が絶妙のシュート。

13分 1-1
内山雅之(グランセナ)
*ミドルシュートが追い風に乗って、GKの目測を誤らせるサプライズ・シュートに。

19分 1-2
吉沢祐介(グランセナ)
*1点目同様。

21分 1-3
内山雅之(グランセナ)
*守備陣とGKの連携ミスを狙われた痛恨の失点

後半32分 1-4
坂本和也(グランセナ)
*3点目と似た状況からのゴール。

後半33分 2-4 大西康平(山雅)
*川田和宏(J1大分からレンタル。後半から交代出場)のクロスを大西(今季加入、前YKK AP)がダイレクトで合わせた、クリーン・シュート

後半38分 グランセナCB島田洋介、2枚目のイエローで退場。

後半42分 3-4
柿本典明(山雅)
*大西のクロスにあわせて、柿本(今季加入、前・湘南)がヘディング・シュート。

風の影響もあったとはいえ、山雅は失点の形が悪すぎました。雨の後ゆえ、ピッチコンディションも良くなかったとはいえ、ホームが人工芝のグランセナの方が、はるかに不利なはずでしたし……。

振り返ると、山雅が「Jを目指して」強化を始めた05年の最終節、2部優勝を賭けて、ホーム、アルウィンで戦った相手が、グランセナの前身、トップ新潟でした。結果は4-0で山雅が圧勝。小澤修一、矢畑智裕、三本菅崇の3人は、当時からの主力です。山雅は優勝、トップ新潟は4位。同じ日、隣のサブ・グラウンドでは、1部優勝の長野エルザ(現・パルセイロ)が上田ジェンシャン(今季2部)と試合をしていました。

エルザのレベルと比べて、山雅が「Jを目指す」ことを現実的なムーブメントとして、感じられませんでした。

それから3年。トップ改めグランセナと同じアルウィンで対戦し、今回は“痛恨”の敗退。
群雄割拠の北信越リーグならではの“痛恨”。見方を変えれば、他地域では味わえないサッカーの醍醐味。また、J1のアルビレックスが突出している新潟県に、別のクラブチームが台頭してきたことは、選手の受け皿という点でも幸いだと思います。

ところで……

昨季、山雅が勢いに乗っていた頃は、試合後、スタンドのファンの要望に答えてサインをしたり、話をしたりする選手たちが多数いました。ところが、今季は、そんな光景が激減したという印象があります。

ファンとスポンサーあってのクラブですし、「試合結果がすべて」ではないと思うのですが……。

<写真説明>グランセナの4点目後

▼Jを目指すクラブの動向

●東北リーグ1部
(29日)
ビアンコーネ福島 1-2 FCプリメーロ

●東北リーグ2部南
(7節、29日)
福島ユナイテッドFC 2-0 相馬SC
*首位=ユナイテッド(7連勝)

●北信越リーグ2部
(9節、29日)
アンテロープ塩尻 3-1 丸岡フェニックス
*首位=上田ジェンシャン(勝ち点22)、2位=アンテ(同20、6勝1敗2分け)

●四国リーグ
(10節、29日)
カマタマーレ讃岐 3-0 ベンターナAC
*首位=カマタマーレ(9勝1分け)

●中国リーグ
(29日)
レノファ山口 1-1 ヤーマン宇部
JFE西日本 1-2 デッツオーラ島根
*首位=レノファ(勝ち点22)。5位=デッツオーラ(同14)


▼JFLの結果&順位は↓
JFL前期:結果&順位表

▼「Jを目指すクラブ」情報は↓
「リスト&記事リンク」

※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

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