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Jを目指せ! by 木次成夫

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第103回「全国社会人選手権“特別編”PART4」
by 木次成夫

長野パルセイロ「完勝」
松本山雅「敗退」

[10/21 全社準決勝 第1試合]
ホンダロック0-4長野パルセイロ
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 パルセイロの好調ぶりが際立った試合でした。戦術的にチーム熟成が進んでいる上に、選手たちのコンディションも上々。1回戦(矢崎バレンテ、1-1、PK4-3)は主力中心で、2回戦(クラブ・ドラゴンズ、4-0)と3回戦(佐川急便中国、4-0)は“控え”中心。そしてこの試合は主力中心。全社・北信越予選、天皇杯長野県予選を含め、今まで積極的に選手を使い分けてきた結果、相対的に層の厚いチームになりました。

<パルセイロ・スタメン>
3-5-2
GK海野剛
右DF籾谷真弘
CB丸山良明
左DF小田竜也
右MF高田一憲
ボランチ土橋宏由樹
ボランチ貞富信宏
左MF高野耕平
トップ下、佐藤大典
トップ要田勇一
トップ藤田 信

<得点経過>
40分0-1
要田勇一
=左サイドをパスを受け、角度のない位置から左足でシュート

43分(=後半3分)0-2
高田一憲=右CK→相手クリア→こぼれ球を的確かつ豪快にシュート

44分(=後半4分)0-3
要田勇一=FK直接

50分(=後半10分)0-4
佐藤大典=左サイド深い位置から高野がグラウンダー・クロス→走りこんた要田がダイレクトで後方に流し→ダイレクト・シュート

 4点目が典型的でしたが、この試合のパルセイロは、動きの中での“クサビ”のプレーが効いていました。ホンダロックは組織的かつ勤勉なプレッシング・サッカーが“売り”のはずですが、意外なほど、持ち味を発揮できず。貞富、土橋らベテランの“いなし”が巧かったということですが……。

[10/21 全社準決勝 第2試合]
NECトーキン2-1松本山雅FC

 パルセイロが勝ったため、勝者は決勝を待たずに全国地域リーグ決勝大会出場権を得られる状況でした。

<山雅スタメン>
4-4-2
GK原裕晃
右SB金澤慶一
CB坂本史生
CB矢畑智裕
左SB阿部琢久哉
右MF今井昌太
ボランチ高沢尚利
ボランチ川田和宏
左MF大西康平
トップ小澤修一
トップ柿本倫明

 一見して、天皇杯3回戦(湘南)以来、4試合ぶりのスタメン出場を果たした大西に期待がかかる布陣です。実際“復帰”効果は、すぐに出ました。前半4分、ファウルを受けた大西が自らFKを蹴り、二アサイドで柿本がヘッドで合わせて先制ゴール。奇跡的な逆転勝ちをした準々決勝とは対照的な“幸先の良い”スタートです。しかし――えてして、早い段階での得点は、試合展開を“悪い意味で”大きく変えるものですが、まさか現実になるとは……。

 チーム全体が落ち着き、無理をしない“省エネ”サッカーを始めた矢先、まず、大西に異変が起きます。突如、足が“つった”かのような仕草をして、走るのを停止。トレーナーの処置を待たずに、ピッチを去ったのです。山雅は急遽、石川航平がウォーミングアップを始めたものの、23分に交代出場するまで、数分間、10人で戦う事態に陥りました。慌てることはなかったものの、勢いに乗るタイミングを逃したとは、思います。

 その一方で、トーキンのサッカーは失点後も変わりませんでした。昨季の“地域決勝”出場経験もあるMF大橋良隆(25歳=主将、前・仙台)、小笠原正樹(26歳、前TDK)らを中心に、丁寧に“つなぐ”サッカーを展開。疲労に加えて、焦燥感ゆえか、個人プレーと、大雑把なパスが徐々に目立ち始めた山雅とは対照的でした。そして――、

64分(=後半24分)1-1
FW佐藤幸大(23歳、前・富士大学)=左サイドから大橋がクロス→ヘッド。

79分(=後半39分)
矢畑が2枚目のイエローカードで退場=延長戦開始時に山雅は石川に代えて、CB三本菅崇を投入。

99分(=延長後半9分)1-2
佐藤幸大=直接FKを佐藤幸大がヘディング。

試合は、その直後に終了。

 トーキンは去る12日、つまり、山雅が天皇杯3回戦を戦った日に東北リーグ1部最終節でグルージャ盛岡に1-2に敗退し、リーグを2位で終えました。優勝したグルージャとの勝ち点差は、わずか1。“地域決勝”出場への思いは山雅同様に強かったわけですが、チームワークの良さが印象的でした。また、昨季、仙台大学でインカレ(全日本大学選手権)に出場した選手が、この試合の控えを含めて4人いるなど、“活きのよい”若手が多いので、今後の成長も期待できるチームだと思います。

 ところで、山雅は22日、ホンダロックとの3位決定戦に臨みます。実は、まだ“地域決勝”への道が閉ざされたわけではありません。3位になったチームは出場権を得ることができます。

▼Jリーグを目指すクラブの動向
四国リーグ(19日)
徳島ヴォルティス・2nd 0-1 カマタマーレ讃岐
※カマタマーレ優勝達成!

<写真説明>決勝点直後の明暗


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※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

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