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Jを目指せ! by 木次成夫

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第111回「全国地域リーグ決勝大会“特別”編 一次ラウンド2日目(C組)」
by 木次成夫

 JFLと地域リーグの主役は、流行言葉をパクるなら、「アラウンド23」(23歳前後)なのだということを改めて痛感した1日でした。見方をかえると、「Jを目指すクラブ」は年々、大卒後に“もう少し挑戦したい”という選手の「受け皿」に、なっています。もちろん、中には高卒、あるいは専門学校出身選手もいますが、基本的には25~26歳くらいが、アマチュア(あるいはセミ・プロ)サッカー人生の“大きな”分岐点になるようです。

●レノファ山口(スタメン平均年齢24.1歳、大卒“3年目世代”=83年4月2日以降生まれ=以下7人)
●グルージャ盛岡(同24、5歳、同9人)
●静岡FC(同23.5歳、同9人)
●松本山雅(同26.4歳、同5人)

 例えばレノファには福山大学や徳山大学、グルージャには八戸大学など、近隣の大学出身選手がいる点は、ある意味、“地域密着文化”と言えるでしょう。

 ちなみに、初日に見た試合では――

●カマタマーレ讃岐(同23.9歳、同10人)
●V・ファーレン長崎(同27.4歳、同4人)
*長崎の場合、原田武男(37歳)と竹村栄哉(34歳)が平均年齢をあげている大きな要因ですが、道都大学出身2年目の伝庄 優など、成長著しい若手も、います。


レノファ山口 2-1 グルージャ盛岡

 レノファは中国リーグ1位。対するグルージャは東北1部1位。フォーメーションは共に4-4-2で、サイドアタック狙い。ただ、長野パルセイロや町田ゼルビアなど、今大会の優勝候補にあげあれるチームと比べると、全体的に“小粒”なのは、否めません。

<得点経過>
16分 0-1
加藤浩史(25歳、前カマタマーレ讃岐)
※絶妙のスルーパスを、的確にシュート。

40分 1-1
大野達也(23歳、前・徳山大学)
※カウンター。柏原渉(25歳、前・福山大学)が左サイドをドリブル後、クロス→シュート

48分 2-1
安田忠臣(21歳、前アビスパ福岡)
※福原康太(25歳、前セントラル中国=現デッツォーラ島根)が右サイドからクロス→シュート

 グルージャは序盤から試合を優勢に進め、先制点をあげた時点では、圧勝かもしれないとすら感じたほどでしたが、徐々にリズムを失い、半ば自滅。05年をピークに停滞気味ゆえ、今後のチーム動向も気になります。その一方で、レノファは“まとまりの良さ”が印象に残りました。今後が楽しみです。

レノファNEWS
グルージャNEWS

静岡FC 1-2 松本山雅FC

 東海1部1位の静岡は、監督が高田昌明氏(元・横浜フリューゲルスなど。バルセロナ五輪代表)で、テクニカル・アドバイザーは三浦泰年氏(元・東京Vなど。元・日本代表。三浦知良の兄)。初戦では、レノファに敗退を喫したものの、この試合は健闘しました。共に4-4-2フォーメーションで、サイドアタック狙いという点は、第1試合同様。結果的に山雅が辛勝したものの、どちらが勝っても不思議ではない内容でした。

<得点経過>
61分(後半16分)0-1
今井昌太(24歳、前びわこ成蹊スポーツ大学)
※自陣から大西が前方へフィード→今井がDFラインを破ってボールを奪い、GKと1対1になり、落ち着いてシュート。写真

63分(後半18分)1-1
オウンゴール

89分(後半44分=ロスタイム)
三本菅崇(30歳、前FCホリコシ=現アルテ高崎)
※ゴール前混戦。柿本のシュートがバー直撃→跳ね返りを高沢がヘッドで“つなぎ”→三本菅が右足ダイレクト

 静岡は73分(後半28分)にCB滑 大介(24歳、前ASラランジャ京都)、89分(後半44分)に“もう1人の”CB長尾祐次(25歳、前・沖縄かりゆしFC)が累積警告で退場になったのが、痛かったです。対する山雅は、今井昌太と、怪我から復帰した大西康平(26歳、前YKK AP)のサイドアタックに大きく依存している点で、相変わらず。サイドアタック後に、“得点に結びつける”形が、「ない」のが気になります。

 ただ、観戦に駆けつけるファンの多さも、相変わらず。この試合は、一見して100人~150人。初日の高知、そして、この日の鳥取と、合計8チームを見ましたが、山雅ファンの数はダントツです。もし、鳥取市内のホテルが軒並み満室でなければ、もっと多くなっていたかもしれません。

 新潟で開催された全国社会人選手権でも感じたことですが、大会運営関係者の方々には、そろそろ“山雅ファンは多いらしいから、なんか飲食品を販売すると儲かるかもしれない”くらいは、気づいてほしいものです。また、この不況下にも関わらず、地元・旅行代理店が観戦ツアーを企画しなかった点も、理解に苦しみます。鳥取に向かう列車内で「カニを食べる“日帰り”ツアー」広告を発見し、よけいに思いました。なぜ、儲けようとしないのか――。また、都会と地方の交通アクセスを良くしても、地方に「行きたくなる」何かがない限り、どちらかというと、ショッピング目的などで「地方→都会」の一方通行になるのでは? 高齢者社会は自動車を運転できない人が多くなるという意味でもあるのに、なぜ、道路なのか? 大事なのは公共交通機関では? 高知から岡山経由の鳥取行きは、けっこう、不便でした。電車ではなく、列車の区間もあります(電化されていないという意味)し――。

 ちなみに、高知から鳥取に移動して、印象的だったことのひとつは、試合をビデオ録画するなど情報収集をする長野パルセイロ関係者が複数いた点です。“決勝ラウンドに向けて”ということでしょうが、運営予算の“やりくり”で苦労しているクラブが多い中、(あえて、でょうか)クラブのマーク入りベンチコートを着ていたこともあり、目立っていました。他クラブ関係者が「パルセイロはスゴいですね」と、驚くほど。パルセイロからすれば、決勝ラウンド対戦チームに“研究し尽くしているぞ!”と、アピールするためかもしれませんが……。

松本NEWS  

・他組の結果(注=PK勝利は勝ち点2で、PK敗は勝ち点1)


長野パルセイロ 2-1 沖縄かりゆしFC

ホンダロック 0-0(PK5-4)バンディオンセ加古川

*1位=パルセイロ(勝ち点5=1勝1PK勝)、2位=ホンダロック(同3=1PK勝1PK敗)、3位=バンディ(同2=2PK敗)、4位=かりゆし(同2=1敗1PK敗)


カマタマーレ讃岐 0-2 V・ファーレン長崎 

日立栃木UVA(ウーヴァ) SC 1-1(PK4-5)アイン食品

1位=V・ファーレン(勝ち点6=2勝)、2位=カマタマーレ(同3=1勝1敗)、3位=アイン(同2=1PK勝1敗)、4位=UVA(同1=1PK敗1敗)


町田ゼルビア 1-0 ノルブリッツ北海道

佐川急便中国 2-6 矢崎バレンテ 

1位=ゼルビア(勝ち点6=2勝)、2位=矢崎(同6=2勝)、3位=ノルブリッツ(同0=2敗)、4位=佐川中国(同0=2敗)

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※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

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