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Jを目指せ! by 木次成夫

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第112回「全国地域リーグ決勝大会“特別”編 一次ラウンド3日目(A組) 」
by 木次成夫

 一次ラウンド4組の中で「最大の激戦区」という前評判だったA組は、最後まで劇的でした。

 雨天だったのも、要因のひとつだったかもしれませんが……。

 2日目終了時点の順位は、以下の通りでした。

1位=長野パルセイロ
(勝ち点5=1勝1PK勝)

2位=ホンダロック
(同3=1PK勝1PK敗)

3位=バンディオンセ加古川
(同2=2PK敗)

4位=沖縄かりゆしFC(同2=1PK勝1敗)

長野パルセイロ 2-3 バンディオンセ加古川

 90分間でパルセイロが勝てば、第2試合を待たずに決勝ラウンド進出が決まり、同様にバンディが勝てば、第2試合の結果次第で1位も“ありえる”という状況でした。つまり、パルセイロ“断然”有利。そして、前半終了間際までは、パルセイロが順調に進めました。

<得点経過>

11分 1-0[長]
高野耕平(3-5-2の左アウトサイド、23歳=前・東京学芸大学)
※相手のクリアを右足ダイレクト

16分 2-0[長]
藤田 信(FW、24歳=前・フェルヴォローザ石川・白山、ジャパン・サッカーカレッジ出身)

 しかし……、前半42分に小田竜也(右DF、24歳=前・浜松大学)が相手の突破をファールで止めて、2枚目のイエローカード=退場になってから、状況が一変してしまいました。

43分 2-1[加]
濱岡和久(PK)
(3-5-2のトップ下、27歳=前・佐川印刷)

44分 パルセイロ選手交代
藤田→DF土屋 真(25歳=前・浜松大学)

 後半、バンディは“持ち前の”ピッチを広く使うサッカーを展開して、優勢に試合を進めました。浜岡の的確なボール裁きでパルセイロ守備陣を左右に開かせつつ、引かせてから、ハイクロスを入れるパターンは、大雑把ながらも迫力が、ありました。

53分(後半8分) 2-2[加]
角 廣介(FW、23歳=前・福岡大学)
※左アウトサイドの西村英樹(25歳、前ガイナーレ鳥取)がドリブル突破からクロス→右足ダイレクト

70分(後半25分)2-3[加]
小林靖典(ボランチ、27歳=前・三菱水島FC)
※左CK=濱岡→二アサイド・ヘディング。精度の高いキックに合わせた快心のゴール

73分 パルセイロ選手交代
高田一憲(右アウトサイド、22歳=前・国士舘大学)→大塚泰治(25歳、前バンディ)

81分 パルセイロ選手交代
土橋宏由樹(ボランチ、30歳=前・山雅)→栗原明洋(攻撃的MF、23歳=前・新潟)

87分 バンディ選手交代
角→西村完爾(FW、30歳=前セントラル神戸=バンディの前身)

 これほど“脆い”パルセイロを見たのは今季初めてです。なぜ、10人になって以降、ずるずると“引いて”しまったのか? 突破力のある選手が複数いるのですから、例えば、カウンターのチャンスを狙う策もあったはずなのに――。バンディが良かったというよりは、パルセイロの自滅。今まで度々、起死回生のチャンスを演出してきた土橋も、“ほぼ”何もできないまま、ピッチを去りました。

この試合の結果、両チームは勝ち点5で並んだものの、バンディは得失点差+1で、パルセイロは+-0。つまり、パルセイロの「2位以下」が決定しました。そして、その直後、“山雅も敗れた”という情報が――。

 つまり、北信越リーグは来季も”地域決勝“出場枠=1チーム。両クラブだけでなく、同リーグ所属クラブ(ファン、関係者)にとっても、最悪の結果になってしまいました。

最新NEWS

ホンダロック 2-1 沖縄かりゆしFC

 この試合が引き分けに終われば、「バンディが1位」という状況でしたが、結果はホンダロックが辛勝。ホンダロックは今季、“かりゆし”、V・ファーレン長崎に次ぐ九州リーグ3位に終わったものの、全国社会人選手権で3位に入り、全社枠“1番手”で今大会出場権を獲得したチームです。全社でも感じたことですが、企業サッカー部ならではの“まとまり”が、ありました。

<得点経過>
43分 1-0[ホ]
谷口研二(ボランチ、27歳=前・日章学園高校)
※スローインを南光太が“つないで”→ヘディング

67分(後半22分)1-1[沖]
斎藤将基(FW、28歳=前・東京V)
※右サイドから小寺一生(ボランチ、25歳=前・佐川印刷)がクロス→ヘディング

 同点になった瞬間、観戦していたバンディ選手たちから歓声が――。しかし、その喜びは、数分しか続きませんでした。

72分(後半27分) 2-1[ホ]
南光太(PK)
(ボランチ、29歳=前プロフェソール宮崎) 

その後、“かりゆし”は何度も得点のチャンスに至りました。ホンダロックのシュートが7本(前半4本、後半3本)なのに対して、“かりゆし”は24本(前半11本、後半13本)。試合終盤には、浅野大地(FW、25歳=前アルテ高崎)のシュートがポストを叩くなど、運に恵まれなかった面もありましたが、全体的に見れば“焦りが出てしまった”という印象です。言い方をかえると、普段のサッカーができていたら、結果は違っていたかもしれません。そう感じるほど、好選手が揃った好チームでした。

 A組の最終順位は以下の通りです。

★1位=ホンダロック(勝ち点6)
2位=バンディ(同5、+1)
3位=パルセイロ(同5、+-0)
4位=かりゆし(同2)

 バンディは、4年連続で“JFL昇格の夢”が叶いませんでした。全社前、バンディ関係者いわく「“地域決勝”で対戦しそうな相手と戦って、叩いておきたい」。そして、同大会1回戦では“期待通りに”強豪ホンダロックと1回戦で対戦したものの、敗退。そのホンダロックと“地域決勝”で同じ組になり、運命を左右されるとは……。

最新NEWS
最新NEWS(沖縄・斉藤)

・他組の結果(注=PK勝利は勝ち点2で、PK敗は勝ち点1)


カマタマーレ讃岐 0-0(PK4-2) アイン食品

日立栃木UVA(ウーヴァ) SC 0-1 V・ファーレン長崎 

★1位=V・ファーレン(勝ち点9=3勝)
2位=カマタマーレ(同5=1勝1PK勝1敗)
3位=アイン食品(同3=1PK勝1PK敗1敗)
4位=UVA(同1=1PK敗2敗)


レノファ山口 1-1(PK5-3)松本山雅

静岡FC 0-6 グルージャ盛岡

★1位=レノファ(勝ち点8=2勝1PK勝)
2位=松本(同7=2勝1PK敗)
3位=グルージャ(同3=1勝2敗)
4位=静岡(同0=3敗)


佐川急便中国 1-2 ノルブリッツ北海道

町田ゼルビア 1-1(PK6-5) 矢崎バレンテ 

★1位=ゼルビア(勝ち点8=2勝1PK勝)
2位=矢崎(同7=2勝1PK敗)
3位=ノルブリッツ(同3=1勝2敗)
4位=佐川中国(同0=3敗)

<写真>パルセイロ敗戦後、帰路に向かうバス内のバドゥ監督らに向けて、クラブ・マフラーを掲げるファン

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※本コラムは毎週火曜日更新予定です。ぜひ感想やあなたの地元クラブの情報をこちらまでお寄せください。

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