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Jを目指せ! by 木次成夫

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第2回 関西リーグ「FC Mi-O びわこKusatsu」
by 木次成夫

 このクラブの存在を知ったのは、不勉強ながら、昨年秋でした。全日本社会人選手権出場チームをチェックしていたら、名前があったのです。関西リーグ1部2位。Mi-Oは、「近江」(おうみ)を逆から読んだということは、想像できたのですが、”いったい何者?” みたいな感じでした。ちなみに、mioはスペイン語では「私の」(英語のmyあるいはmineに相当)という意味です。つまり直訳すれば「私のフットボール・クラブ」。逆から読んでも意味がある(例えばコンサドーレには、意味がない)。素晴らしいネーミングだと思いました。
 実は、このクラブ、05年に関西リーグ2部で優勝して1部昇格を決めながらも廃部になった佐川急便京都サッカー部を引き継いだチームでした。ホームを滋賀県草津市に移転して、06年シーズン、いきなり好成績というわけです。ちなみにリーグ1位は天皇杯で4回戦に進出したバンディオンセ神戸でした。
 草津駅近くにあるオフィスに赴いて話を聞いたところ、所属選手はクラブの親会社の社員で、地元企業などで“派遣”として働いているとのこと。クラブ代表の田村(忠義)さんは地元の草津東高校出身で、ガンバ大阪でプレーした経験があります(現役時代は、見たことありませんが)。この話を聞いて、“良い作戦だなあ”と思いました。“派遣”は今、人気ドラマのテーマにもなっていますが、もし「有名な派遣会社よりも、Mi-Oからの方が、体育会と言うか、スポーツマンというか、非常に真面目で良い」なんてなれば、最高ではないでしょうか? 実際、すでに、そういう評判があるかもしれませんが……。

 1月27日、JAPANサッカーカレッジとの練習試合があったので、会場のビックレイクまで行きました。試合開始は17時すぎ。昼間に行われたJFAのスーパー少女プロジェクト(GK育成策)を見がてらでしたが、Mioの選手たちのレベルの高さに驚きました。さすがは、地域リーグ決勝大会ではFC岐阜に0-7で完敗しながら、天皇杯4回戦進出の静岡FCに4-3で勝っただけのことはあります。実際に見て、試合結果(数字)だけではわからない実力がなんとなくわかりました。地域リーグトップクラブとJ2、JFLなどとの差は、ベストのパフォーマンスを1年間できるかどうか、だと改めて思いました。もっとも、だからこそ、天皇杯が面白いのですが。前日のFC岐阜のセレクションを見たこともあり、僕なりに比較的できたのですが、“FC岐阜受験生の皆さん、けっこう、状況判断のスピードが違いますよ”。ビックレイクは琵琶湖のほとりということもあり、非常に寒かったですが、”こういう中で選手はみんな練習しているのだ”ということもわかりました。滋賀県は草津駅と守山駅の間にある「栗東」が新幹線の駅建設で話題になっています。目先の大規模事業のほうが儲かるかもれしれませんが、僕は長い目で見た「サッカー文化」のほうに賛同します。Mi-Oも、もともと子供のクラブから発展しました。頑張ってほしいと思いました。
 FC Mi-Oは2月23日から25日にかけて開催される西日本選手権に出場します。昨年度の関西、中国、四国、九州リーグの1位と2位のチームが参加します。もちろん第1回の記事で扱ったファジアーノ岡山も出場します。

<写真>クラブのバス。Mi-Oユニフォームカラーは薄いグリーン。胸スポンサーは地元のリフォーム関係の会社

(取材・文 木次成夫)

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