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Jを目指せ! by 木次成夫

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第11回 JFL第2節 FC岐阜「快進撃?」
by 木次成夫

 第1節に続き、FC岐阜の試合を見に行きました。岐阜にとっては初ホーム。相手はアルテ高崎(昨年度10位)でした。04年シーズン(当事は群馬FCホリコシという名称)には天皇杯で柏レイソルに勝つなど、上昇気流に乗っていたのですが、その後、停滞しているクラブです。
 結果は2-0で岐阜が勝利。開幕2連勝はJFL昇格チーム=新参クラブ=としては快挙ですが、快勝というほどではありませんでした。高崎が組織的かつ守備的だったため、前半はボールポゼッション率こそ高いものの、得点チャンスは“ほぼ”ゼロ。第1節(18日)の疲れも残っていたのでしょうが、本来なら攻撃のリズムを作るFW片桐淳至、サイドアタッカー小島宏美のプレーにキレがなく、一方の高崎も、ボールを奪ってからの攻め手のアイディアを欠いていました。よく言えば“拮抗”、正直にいえば“退屈”。“まったり”という表現がピッタリの展開でした。

 試合が動いたのは後半の半ばになってから。後半25分、小島がPKを決めて“やっと”FC岐阜が先制。試合終了間際の42分に、それまで決定的チャンスを数回逃していたFW和多田充寿(30歳)が、小島のクロスに豪快なヘッドで合わせて追加点。今季、セレクションに飛び入り参加して入団した選手ですが、さすがはJ1(ジェフ千葉とヴィッセル神戸)通算24得点という実績を誇る選手ならではと感じさせる素晴らしいシュートでした。小島とはヴィッセル時代のチームメイトです。初戦で頑張った守備陣同様、攻撃面でも強化策が実ったわけです。とはいえ、試合後にコーチ兼選手の森山泰行は試合後に口にした「PKの得点だけだったら、寒かったけど……」という言葉の通り、凡戦になる寸前でした。
また、今後に向けて、多少の不安とJFLの難しさを感じた試合でした。というのは、岐阜が2戦2勝したことで、「守備的な相手」をいかに崩すかがカギになる試合が増えるかもしれないということです。世界トップレベルのFCバルセロナなどにもいえることですが、守備的な相手に勝つことは難しいです。だからこそロナウジーニョなど個人技で守備陣を“こじあける”選手が重要なのですが、そのロナウジーニョにしても不調のことはあります。

 岐阜が昨年戦った東海リーグは8チームの2回総当り戦でした。JFLのような長期的戦とは、まるで状況が違います。見方を変えれば、今後、多くのチームが岐阜をマークしてくる中、いかに戦っていくかは戸塚哲也監督らの手腕の見せ所なのですが……。

 ちなみに、この試合の観衆は5082人。JFL第2節9試合の中でダントツトップでした。試合前にはベンチ入りできなかった選手が「オフィシャルイヤーブック」販売の“売り子”になり、当初は予定していなかった「即席サイン会」というファンサービスもありました。また、VIP席には地元岐阜市選出の国会議員、野田聖子さんの姿も。是非、今後もスタジアムに足を運びつつ、地元自治体のFC岐阜支援体制を加速させてほしいものです。今後は、岐阜のユニフォームも着ていただき、「郵政民営化反対」当時のようなアグレッシブなスタイルで声援を送れば、地元人気も高まることでしょう。試合が行われた長良川陸上競技場の荒れたピッチもなんとかしてほしいです。そういえば、ドイツではWカップ効果か? 今年生まれる子供の数が増えたという報道がありました。少子化問題もテーマにしている野田先生には、FC岐阜はピッタリかもしれません。

 ところで、この試合、高崎のユニフォームを着て、声高に応援するファンは1人もいなかったと思います。高崎の攻撃サイドで撮影しているカメラマンも1人もいませんでした。実は3月10日、高崎対図南SC(群馬県リーグ)のプレシーズンマッチの試合を見に前橋に行ったのですが、その試合もカメラマンはゼロでした。高崎の「Jを目指す熱」は冷めてしまったのでしょうか。バスで帰路につく高崎の選手を見ていて、ちょっと可愛そうになりました。FC岐阜のファンにも、高崎の選手へエールを送ってほしかったです。

JFL第2節 他の試合結果
ガイナーレ鳥取 1-1 ソニー仙台FC
ジェフリザーブス 2-3 アローズ北陸
佐川印刷SC 0-1 ロッソ熊本
流通経済大学 3-0 YKK AP
三菱水島FC 2-1 佐川急便SC
TDK SC 0-2 Honda FC
FC琉球 0-0 横河武蔵野FC
FC 刈谷 0-2 栃木SC

<写真>得点を決めてガッツポーズの和多田充寿(背番号31)。祝福する主将のMF北村隆二。その後ろから駆け寄るのは、第1節同様に途中交代で活躍した木島徹也

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