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Jを目指せ! by 木次成夫

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第34回 JFLガイナーレ鳥取&天皇杯東京予選準決勝編
by 木次成夫

 ガイナーレは今年2月に栃木SCと同じく、「Jリーグ準加盟」を承認されたクラブです。教員チームから発展してきた点も栃木SC同様。つまり、“栃木に追いつけ、追い越せ(でも、追い越せない)”という感じです。

1983年、「鳥取教員団」結成。
1989年、「SC鳥取」にクラブ名変更。
2000年、中国リーグ優勝(栃木=JFL12チーム中11位)。
01年、栃木より1年遅れでJFL昇格。16チーム中最下位(栃木=13位)。
02年、18チーム中13位(栃木=12位)。
03年、16チーム中10位(栃木=8位)
04年、16チーム中14位(栃木=9位)
05年、16チーム中12位(栃木=4位)
06年、18チーム中11位(栃木=7位)。栃木SC同様に、運営母体が株式会社化
07年、ガイナーレ鳥取に改称

 今季は、かつて松下電器(現・ガンバ大阪)を率いた経験もある水口洋次氏(63歳)を監督に招聘。「J準加盟」の勢いに乗ってスタートをきったものの、低迷しています。後期7節の三菱水島FC戦に0-1で敗れた後、水口監督が辞任。後任は前・ヘッドコーチのヴィタヤ・ラオハクル氏(タイ人)。この時点で「Jリーグ昇格圏」の4位との勝ち点差14の14位でした。

8月26日
JFL後期8節
流通経済大学対ガイナーレ鳥取
(最新NEWSに写真掲載!)

 ガイナーレは今季11人が新加入(うち3人は開幕後に移籍)しました。流経大戦のスタメンは以下の通り。

GK井上敦史(30歳=新加入、前・横河武蔵野FC、元・札幌)
DF青柳雅信(21歳=2年目、前・湘南)、戸田賢良(27歳=新加入、前・湘南)、田村和也(24歳=3年目、同志社大学卒)、樋口大輝(23歳=新加入、福岡大学卒)
MF川田和宏(25歳=新加入=レンタル、前・大分)、西村英樹(24歳=4年目、前・広島)、実信憲明(27歳=5年目、東京農業大卒)、中垣雅博(25歳=3年目、専修大学卒)、鶴見聡貴(19歳=新加入=レンタル、前・湘南)、FW秋田英義(33歳=新加入、前・FC刈谷、元・名古屋など)

 試合は前半4分に西村、6分に秋田がゴールを決めて、ガイナーレが0-2でリードしたにも関わらず、4-2で逆転負け。GK林彰洋(五輪代表)ら大学サッカー界随一のスター軍団、今季は総理大臣杯で優勝を飾っている流経大との“勢いの差”が出たという感じです。ガイナーレは15位に落ち、「Jリーグ昇格圏」=4位(FC岐阜)との勝ち点差は16に広がりました。

 ただ、“ふがいない”というよりは、開幕戦でアルテ高崎(最下位)に敗れる一方で、6節でロッソ熊本(2位)に勝利するなど、ムラが激しい点が“惜しい”という印象です。流経大戦にしても、チーム全体のリズムが停滞すると個人プレーに走ってしまう傾向が見えました。クラブ運営予算の限界ゆえか、他の「J準加盟」チーム、ロッソ熊本、FC岐阜、栃木SCに比べると地味な選手が揃っていますが、バランスは悪くないと思います。それどころか、衰えつつあるベテランへの依存度が低い点は、ロッソなど3チームよりも未来があるかもしれないと思うほどです。

 この試合の観衆は423人(公式発表)。会場の茨城県龍ヶ崎市陸上競技場はJR常磐線、佐貫駅で1時間に2-3本しかない関東鉄道に乗り換え、竜ヶ崎駅下車。それからバス移動です。不便ですが、流通経済大学も最寄り駅は同じです。ピッチサイドには独自のスポンサー看板もある上に、学生以外の一般ファンもいました。地味ながらも「地域密着しつつある」という感じです。嬉しくなりました。

 熱い応援をする数名のサポーターをはじめ、数少ないながらもガイナーレ・ファンもいました。もっとも、横河武蔵野ホームでのロッソ・ファン、岐阜ホームでの栃木ファン、ロッソ・ホームでの岐阜・ファンの数などとは比べ物になりませんが……。地元マスコミのアウェー取材という点でも、ロッソ、岐阜、栃木の方がはるかに積極的です。とはいえ、数少ないファンすら龍ヶ崎にいなかったら、ガイナーレにとっては、非常に“寂しい”試合になっていたとも思います。

 ガイナーレはホームの観衆数という点でも、ロッソ、岐阜、栃木に劣っています。昨季のホーム試合平均数は1146人(ロッソは3765人、栃木は2139人)。今季は初ホームの前期2節、ソニー仙台戦で3811人が集まりましたが、その後、伸びていません。もし、ガイナーレの成績を嘆く自治体、あるいはスポンサーの方がいるとしたら、例えばホーム最終戦のFC岐阜戦(後期15節、11月17日)で大規模動員をはかってほしいと思います。

 ところで、流経大対ガイナーレの前日、天皇杯東京予選準決勝を見に、東京・西が丘競技場に行きました。結果は以下の通り。

横河武蔵野FC 0-2 明治大学
FC町田セルビア 3-2?\・膤憇n
 武蔵野は“情けない試合”をしてしまいました。学生の勤勉かつスピーディなプレスに対して慌ててしまったのが敗因のひとつです。その一方で「Jリーグを目指している」ゼルビアの健闘ぶりは見事でした。昨年の全国社会人大会で見た際、“小粒ながらもまとまっている”という印象があったのですが、今季はチーム全体がパワーアップしていました。法政大戦のスタメンのうち5人が大卒新人。元・Jリーガーも複数います。法政大の重鎮、本田拓也(五輪代表)のプレーに“次元が違う”と思いつつ、チーム力で競り勝ったゼルビアにサッカーの醍醐味を感じました。大学の強豪にJFLの武蔵野とガイナーレが敗れ、格下=関東リーグのゼルビアが勝利。やはり“勢いの差”は大きいと痛感しました。

 ゼルビアは昨季、関東リーグ2部を制して、今季はすでに1部優勝を決めています。つまり、JFLへの登竜門である全国地域リーグ決勝大会出場に出場します。大会の行方を占うには時期尚早かもしれませんが、法政戦のパフォーマンスを見せることができれば、優勝候補の一角になりえると思いました。

<写真説明>数少ないものの、熱い応援をするガイナーレ・ファン


今まで紹介した「Jリーグを目指す」クラブの動向

●JFL
後期・未消化試合(8月25、26日)
25日 第7節 栃木SC 2-0 YKK AP
26日 第8節 流通経済大学 4-2 ガイナーレ鳥取

首位=佐川急便(勝ち点58=1試合未消化)、2位=ロッソ熊本(同54)、3位=YKK AP(同44)、4位=FC岐阜(同43)、5位=アローズ北陸(同42)、6位=Honda FC(同38)、7位=横河武蔵野(同38、得失点差)、8位=ジェフリザーブズ(同36=1試合未消化)、9位=栃木SC(同35=1試合未消化)、15位=ガイナーレ鳥取(同27)、18位=アルテ高崎(最下位、同6)

●関西リーグ所属クラブ
天皇杯滋賀県予選準決勝
FC Mi-OびわこKusatsu 2-0 滋賀FC(滋賀県リーグ所属)
*決勝は9月2日 VS.びわこ成蹊スポーツ大学

天皇杯兵庫県予選準決勝
バンディオンセ神戸 7-1 姫路獨協大学
*決勝は9月2日 VS.関西学院大学

●四国リーグ所属クラブ
天皇杯香川県予選決勝
カマタマーレ讃岐 5-1 高松大学
*カマタマーレは3年連続の天皇杯出場決定。今後の注目は9月1日の四国リーグ第11節、VS.徳島ヴォルティス・アマ(徳島ホーム)。現時点でカマタマーレ、ヴォルティス・アマとも9勝1分け。得失点差でカマタマーレが首位

天皇杯高知県予選決勝
南国高知FC 2-3 高知大学


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