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Jを目指せ! by 木次成夫

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第39回 Jリーグセミナー(準加盟を目指すクラブ向け)&「草津ダービー」編
by 木次成夫

 9月29日と30日、Jリーグセミナー(準加盟を目指すクラブ向け)が開催されました。
 鬼武健二チェアマンが「Jリーグの目指すもの」と題した講演の中で「水をさすわけではないが、焦ってはいけません」と語ったのが印象的でした。FC岐阜が経験面の問題で、現状では「J昇格圏内の4位」でリーグを終えても、昇格できないかもしれないことなどを考慮しての発言でしょう。

 参加クラブ(団体)は以下の通り。「Jリーグ配布資料リスト記載順、参加者の人数、肩書きも同様」。参加義務のあるセミナーではないので、参加クラブすなわち「Jを目指すクラブ」というわけではありません。

●FCガンジュ岩手(岩手4部)
今季からリーグ参加したチームながら圧倒的な強さを誇っています。天皇杯予選でグルージャ盛岡(東北1部1位=9月30日現在=以下、他のクラブも同様)を破る快挙などで、本大会出場(1回戦で関東1部の埼玉SCに2-3で敗退)。

●ペラーダ福島(東北2部)
NPO法人「福島夢集団」が運営するクラブで、本拠は福島市。

●ビアンコーネ福島(東北2部)
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●栃木SC(JFL)
すでに「準加盟」チームですが、4人が参加(うち1人は宇都宮市総合政策部地域政策室係長)。リーグでは10位と苦戦中ながら、自治体の”やる気“を感じました。
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●FC町田ゼルビア(関東1部)
今季、関東1部昇格ながら、圧倒的な強さで優勝。JFLの横河武蔵野FC同様に、“ビッククラブ”FC東京への「地域」の意地を感じさせるクラブです。全国社会人選手権(以下、全社。10月13日から大分で開催)、全国地域リーグ決勝大会(11月23日から)出場。

●Y.S.C.C.(関東1部)
4位でリーグ終了。

●松本山雅FC(北信越1部)
リーグ優勝。全社及び全国地域リーグ決勝大会(組み分け未定ながら、一次ラウンドは広島、愛知と松本市=アルウィンで開催)出場。地域リーグ随一の観客動員力を誇るものの、自治体の支援という点では相対的に苦戦中。松本市及び近隣の自治体すべての公務員の方々に、「地方格差が問題になっている今、松本の“誇り”に成りえる山雅を応援しないのは“もったいない”」と言いたい気分です。
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●富山県サッカー協会
JFLのYKK AP(3位)とアローズ北陸(北陸電力=5位)を統合して、来季から「市民クラブ」としてスタートすることを発表したからでしょうか、主導的立場(?)の協会から3名が参加。「Jを目指す」と先に表明しながら、今季、北信越リーグ1部6位で終わったヴァリエンテ富山の今後が気になるところです。

●ツエーゲン金沢(北信越1部)
リーグ4位に終わったものの、天皇杯ではJFLのロッソ熊本(2位)、FC刈谷(16位)を破って、3回戦進出(10月7日にJ2水戸と対戦)。全社、全国地域リーグ決勝大会出場。
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●サウルコス福井(北信越2部)
昨季2部2位の金津FCを母体に今季から「Jを目指す」活動を本格的に開始。今季は首位をキープしたものの、終盤に失速して2位。セミナー取材媒体10以下の中、地元TV局が取材に来ていた点に熱意を感じました。

●佐川急便SC(JFL)
現在リーグ1位(2位ロッソ熊本との勝ち点差は10)。富山県の2チームに続き、「佐川急便も?」 と思いきや、「そういう予定はありません」(実行委員の入差英之氏)とのこと。Jリーグに入らなくても地域密着はできるわけですから、独自のスタイルに注目したいです。

●FC Mi-OびわこKusatsu(関西1部)
リーグ2位で終了。全社出場。
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●アミティエ京都(京都3部)
不勉強ながら、初めて「存在」を知りました。クラブ理事で「Jリーグ準加盟準備室長」が、子供向けのスクールをはじめ積極的に活動していることをアピールすべく、リリース資料を配布していた点に熱意を感じました。

●アイン食品サッカー部(関西1部)
大阪府和泉市に本社を置く、ウドン・スープやダシ汁などを製造・販売する会社です。今季はリーグ3位ながらも、優勝したバンディオンセ神戸(天皇杯3回戦進出)唯一の敗戦相手。Mi-Oには1勝1分け。02年全国地域リーグ決勝大会で優勝した実績もあります。全社出場。“地元の支援しだいでは「Jを目指す」のでは?”と期待するのは「深読み」しすぎでしょうか。

●レノファ山口(中国)
リーグ4位。ファジアーノ岡山(1位)、セントラル中国(3位)、佐川急便中国(3位)とのプレーオフ(10月7、21、28日)で上位進出を目指しています。

●カマタマーレ讃岐(四国)
昨季、四国リーグで初優勝を果たしたものの、今季はヴォルティス徳島アマチュアに次ぐ2位が濃厚(残り1試合)。9月28日に、来期の監督にTV解説で有名な羽中田昌氏が就任することを発表。全社出場。
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●ニューウェーブ北九州(九州)
リーグ2位(残り2試合)。4人が参加(GM、北九州商工会議所、北九州市教育委員会=2名)。地元の意気込みが感じられるメンバーでした。全社出場。
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●V・ファーレン長崎(九州)
リーグ3位(残り1試合)。全社出場。天皇杯3回戦進出(J2湘南と対戦)
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●ヴォルカ鹿児島(九州)
リーグ5位(残り2試合)。90年代中盤から「Jを目指して」活動しているクラブですが、近年は成績が停滞しています。とはいえ、今回のセミナーにGMを含めて3人が参加した点に意欲を感じました。

●FC琉球(JFL)
リーグ18チーム中17位。

以上。合計20クラブ(協会、会社)でした。

9月30日
草津ちゃうとこダービー

 FC Mi-O(ミーオと発音)対ザスパ。両クラブの本拠、つまり滋賀県草津市と群馬県草津町の友好都市協定10周年と草津市体育協会発足50周年を記念したイベントです。

 ザスパは29日にアウェーの鳥栖戦があり、Mi-Oは秋田国体滋賀県選抜チームに11人が加わっていたため、共にベストメンバーではありませんでしたが、白熱した試合になりました。結果はザスパが0-1で勝利。決勝点は後半24分、奥山卓廊(後半12分に交代出場)。

 試合後には選手と子供たちの、題して“ふれあいサッカー”が行われました。Mi-O運営スクールの生徒だけでなく、草津市内のサッカー少年団などの子供たちも参加。Mi-O選手だけでなく、ザスパの選手たちも積極的に加わっていた点も良かったです。

 ピッチの外には双方の自治体のPRブースが設置された他、草津温泉招待券が当たる抽選会も実施。あいにくの小雨ゆえか、観客は470人(主催者発表)でしたが、それでも、以前に見たMi-Oのリーグ戦に比べると、約2倍。自治体の“公的イベント”ゆえか、取材陣も多く、改めて自治体支援の効果を実感しました。

 Jリーグの幹部の方々には、是非、こういった交流イベントがしやすくなるよう、日程改善策を考えてほしいと思いました。例えば1年に1回、週末を「100年構想の日」とでも題して、日本中のクラブ(下部組織を含む)が公式戦をせずに、独自の地域密着型イベントを開催する日にしたら面白いと思うのですが……。

試合の模様は……
最新NEWS


今までに紹介した「Jリーグを目指す」クラブの動向

●JFL
(後期8節・未消化試合)
9月28日 佐川急便SC 1-0 栃木SC

首位=佐川急便(勝ち点64)、2位=ロッソ熊本(同54)、3位=YKK AP(同47)、4位=FC岐阜(同43)、5位=アローズ北陸(同43、得失点差)、6位=ジェフリザーブズ(同42)、7位=Honda FC(同41)、8位=横河武蔵野FC(同38)、9位=流通経済大学(同38、得失点差)、10位=栃木SC(同35)、15位=ガイナーレ鳥取(同30)、16位=FC刈谷(同26)、17位=FC琉球(同20)、18位=アルテ高崎(同6、最下位)

<写真説明>ザスパ草津、Mi-Oの選手と、イベントに参加した子供たちの記念写真。最上段の子供をおぶっているのはザスパ選手

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