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南アフリカW杯便り

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W杯公式球は本当に"GK泣かせ"か

[6月12日午後11時@ヨハネスブルク]

 大会2日目が終わり、全64試合中、5試合が終了した。スタジアムで観戦したのは開幕戦の南アフリカ対メキシコ、そして今日のアルゼンチン対ナイジェリア。まだ2試合を見ただけですが、“GK泣かせ”として大会前から不評だったW杯公式球「ジャブラニ」に別の印象も抱いています。

 開幕戦でも直接FKでキッカーがゴール上にふかすシーンが多いように思ったのですが、この日のアルゼンチンも前半45分にベロン、後半30分にメッシが絶好の位置からFKを狙うと、シュートは枠に飛ぶどころか、大きく上に浮かしてしまった。髪をかきむしって頭を抱えるメッシの表情を見て、ジャブラニは実は“GK泣かせ”ではなく、“キッカー泣かせ”なのではないかと感じたのです。

 シュートの威力を上げるために軽量化して開発されたジャブラニはボールの軌道が変化しやすく、ブレ球になりやすいため、大会前から世界中のGKが不満を漏らしていました。高地での試合が多いこともあり、特にミドルシュートはかなり揺れるようで、遠めから積極的にシュートを狙うシーンもこの2日間、よく見られます。しかし、まだ5試合とはいえ、ミドルシュートが見事に決まったゴールはありません(イングランド対アメリカでデンプシーが決めたミドルシュートはボールのせいではなく、単純にGKのミスでしょう)。

 ふと思い返すと、スイス・サースフェーでの合宿中、中村俊輔が「(FKで)ボールが落ちない」と嘆いていたことがありました。あのときはまだ俊輔自身のコンディションや左足の感覚が万全でないことも関係しているのではないかと思っていたのですが、やはりボールの影響が大きかったようです。

 今大会、だれが最初にFKを直接決めるのか。そんなことに注目して見てみても、面白いかもしれません。

(文 西山紘平)

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