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[大学選手権]名門・中大、16年ぶりVへあと1勝(九州産業大vs中央大)

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[1.7 第57回全日本大学サッカー選手権準決勝 九州産業大 2-4 中央大 平塚]

 創部以来初の全国4強進出を果たした九州産業大(九州1)と優勝7回(歴代3位)の名門・中央大(関東4)との一戦は中央大が4-2で制し、優勝した92年以来16年ぶりの決勝進出を果たした。中央大は11日の決勝(国立)で復活Vをかけて筑波大(関東3)と対戦する。

 名門・中大が16年ぶりの日本一に王手をかけた。甲府加入内定のFW小池悠貴(4年=甲府商高)、守護神・小野博信(3年=韮崎高)と主力2人を欠いて九州王者との準決勝に臨んだ中大。14年ぶりとなる全国準決勝の舞台、そして主力不在という中でスタートした試合だったが、立ち上がりから中大攻撃陣が相手ゴールへと襲い掛かった。まずは前半7分、MF永木亮太(2年=川崎F U-18)のスルーパスに反応したFW鈴木寛一(3年=浦和東高)が先制ゴールを流し込むと、同点に追いつかれて迎えた25分にはユニバ日本代表候補のMF村田翔(3年=F東京U-18)が豪快な右足ミドルをゴール右隅へと叩き込む。
 左の柴橋浩太(3年=桐光学園高)、右のMF南木享(4年=帝京高)の両サイドアタッカーを中心とした攻撃で主導権を握った中大の勢いは後半も衰えず。14分にセットプレーから山田佑介(3年=川崎F U-18)のゴールで加点すると、1点差に詰め寄られた36分には柴橋の突破から最後は南木がゴールを破り4-2。相手の3倍以上となるシュート16本を浴びせて攻め勝った。

 名門にとっては16年ぶりとなる全国のファイナル進出。その間には苦しい時期があった。現日本代表MF中村憲剛(川崎F)を擁した02年度に関東2部にまで落ちる低迷があった。関東1部には1シーズンで復帰したが、インカレで上位に進出することができない。7度の優勝を誇る名門は日本一から遠ざかる一方だった。苦しい時期もJリーガーは輩出していたが結果は出なかった。今年も小池のJ入りは内定しているが、圧倒的な個を持つ選手はいない。それでも今大会は安定感の高い戦いぶりで勝ち上がっている。決勝へ進出した理由として佐藤健監督は「中村憲剛たちがいた時よりも、今はチームとしてのまとまりがあると思う。チームがまとまって、ゲームで全員が中心となってやれている。これが(勝てない時期と比べて)いいところになっていると思う」と口にした。

 精神的支柱のDF山形雄介(4年=FCみやぎバルセロナユース)がまとめてあげた中大は全員サッカーで決勝進出した。だが、決勝では小池が復帰するものの、GK小野、MF永木、そして山形が出場停止となる。決勝を戦う筑波大は今季の関東1部リーグで2戦2勝と相性は良いが、厳しい戦いとなることは間違いない。だがイレブンは全員で勝利を勝ち取るつもりだ。この日勝ち越しゴールの村田は「出られない人の分も頑張る。出られない彼らの気持ちも汲んで試合に出る。難しい試合になるのは分かっているが勝ちたい」。
 筑波大との決勝対決は佐藤監督と筑波大・風間監督がともに現役で出場した80年度以来で、その時は引き分けて両校優勝だった。「(勝てただけに)悔しかった試合。覚えてます」という佐藤監督にとっては28年越しの決着戦。「(チーム全員でつかんだ決勝進出に)気持ちの乗り方が違う」と指揮官も目を細める中大イレブンは勝って、「名門復活」を果たす。

<写真>前半25分、中大・村田(左)が勝ち越しゴール
(取材・文 吉田太郎)

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