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11年ぶりJ1の湘南は手応え。反町監督「狙いは随所に出せた」

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[3.6 J1第1節 湘南1-1山形 平塚]

 11年ぶりにJ1に復帰した湘南ベルマーレ。オウンゴールによる失点で勝ち点3を逃し、DF村松大輔は「これがJ1かと思った。勝ち試合を取りこぼした」と悔しさを浮かべたが、指揮官、選手は一定の手ごたえもつかんだようだ。

 「これだけ人(報道陣)が集まると、軽はずみな発言はできないですね(笑)。ゲームとしては、勝ちたかったゲームを引き分けたというのは間違いない。まあ、我々としては久々のJ1で、勝ち点1を取れた。次につながるゲームだったことは間違いない」

 会見で反町康治監督は、悔しさをにじませながらも、手ごたえを口にした。昨年から強調している前へ前への姿勢、縦に速い“イケイケ・ドンドン”の攻撃サッカーは通用したからだ。特に昨年からエースだった田原豊、千葉から新加入した元J2得点王の新居辰基、神戸から新加入の馬場賢治の新3トップが威力を発揮した。

 シュート数は田原が2本、新居が3本、馬場が2本と3トップで7本を放った。多いとは言えないが、まずまずだ。田原の高さと意外性、新居のスピード、馬場のセンスの良さも発揮された。反町監督も「我々は1対1で仕掛けて抜いてシュートというイメージの選手はいない。前にボールを運んで、いろんな選択肢をうかがいながら攻めるが、そういう狙いは随所に出せた」と評価した。

 ゴールこそ生まれなかったが、寺川、坂本のパスから、新居、馬場が抜け出すシーンが目立った。また、新居がはたいて、馬場が受けるといった、両サイドの絡みまで見られた。ポジショニングや運動量もまずまずだった。

 失点は、GK野澤洋輔のパンチングが田原に当たって入ったもので悔やまれるが、「事故のようなもの。(古橋の)クロスがテラ(寺川)に当たって、自分はゴールに戻りながらで、かき出すのに必死だった。豊(田原)の足に当たったけど、あれも、豊がカバーにきていたから。山形のFWに詰められて当たって入るのと、豊のカバーで入るのとは違う。前向きな失点」と野澤。チームとしてしっかり守備ができているからこそのオウンゴールだったと強調した。

 今後はこの日はケガで欠場したMFアジエル、MF田村雄三、DF臼井幸平ら昨年の主力が戻ってくる。この日は11年ぶりのJ1というプレッシャーも少なからずあった。きょうよりも悪くなることはない。次戦は日本代表MF中村俊輔が登場予定の横浜F・マリノス。サッカーファン、メディアの大注目を浴びる“神奈川ダービー”となる。

 「次のゲームではきょう以上のマスコミの人もくるでしょう。中村俊輔を見に来て、そのついでに湘南を見るんでしょうが・・・。我々は勝つための準備をするだけであって、中村選手のためにお膳立てをするつもりはありません」

 反町監督は自虐的に語ったが、もちろん言葉通り、やすやすと俊輔のJ復帰戦に“花”を添えさせるつもりはない。“主役”を食う意気込みだ。この日の手ごたえと反省を生かして、神奈川ダービーで、11年ぶりのJ1勝利を目指す。

<写真>湘南の反町監督
(取材・文 近藤安弘)

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