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完敗の浦和、不安定な守備にバランス欠いた攻撃

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[3.6 J1第1節 鹿島2-0浦和 カシマ]

 2年連続の同一カードとなった開幕戦。浦和レッズは同じ場所で、同じ相手に、同じスコアで完敗を喫した。

 攻守に不安を残した。DF田中マルクス闘莉王の抜けた最終ラインは高さも安定感も欠いた。前半5分、クロスから中央のマークを外し、いきなり先制点を献上すると、その後もセンターバックに入ったDF坪井慶介、DF山田暢久の単純なミスでピンチを招いた。ボランチを含めてバランスが悪く、流動的な鹿島攻撃陣を捕まえ切れなかった。

 坪井は開始5分の失点について「パス自体も予測できなかったし、中のポジショニングもずれてしまった。切り替えの部分で鹿島の速さを感じた」と反省。山田暢は昨季と同じ0-2敗戦に「向こうはチーム自体がしっかりしているし、そこの差かな。去年に比べたら、うちも上がっているとは思うけど、やっぱり長年やってきているチームと、この2年ぐらいのチームの差がちょっと出たかなと思う」と、チームとしての完成度の低さを敗因に挙げた。

 完成度の低さは攻撃も同じだった。広島から新加入のMF柏木陽介をトップ下に置いた4-2-3-1は機能したとは言い難い。柏木は「もっとゴール前でプレーできればよかった。エジ(エジミウソン)の近くでプレーしないといけない」と、1トップを孤立させたことを悔やんでいた。

 攻撃の厚みや迫力を欠き、フォルカー・フィンケ監督は後半23分にFW田中達也、同38分にMF原口元気を投入し、打開を図った。MF阿部勇樹が最終ラインに下がり、ボランチに柏木とMFポンテ。2列目にMFエスクデロ・セルヒオ、原口が入り、エジミウソンと田中という攻撃的布陣になったが、これが逆にバランスを欠く結果となった。

 「ぶっつけ本番の形。バランスも崩れていたし、ツボさん(坪井)が(原口に)交代したとき、どうするのか分からなかった。入ってきた選手が言ってくれないと」と柏木。足元でボールを受けるタイプが並び、裏に抜ける選手がいないため、有効な縦パスも出せなくなった。「全員がもらいたい感じで。みんな持てちゃうから。ポンポンポンとリズムを植え付けた方がいいのかな。じゃないと縦に入れられない。もう少し攻撃に深みが欲しい」と課題を口にした。

 「もっともっと良くなる自信はある。もう少しチームとしてサッカーができたら楽しいなと思う」。柏木は前向きに話していたが、フィンケサッカーの完成にはまだまだ時間がかかりそうだ。

<写真>交代策も不発に終わった浦和のフィンケ監督
(取材・文 西山紘平)

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