beacon

[MOM606]桐蔭学園MF片岡立綺(2年)_元日本代表の10番も認めた才能

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.17 全国高校総体神奈川県予選準々決勝 桐蔭学園2-0横浜創学館 等々力]

 試合終了直後、横浜創学館のベンチに挨拶を終えた桐蔭学園の背番号7を横浜創学館のコーチで元日本代表MFの岩本輝雄氏が呼び止めた。「今、何年生? もう少しフィジカルをつけたらもっといいプレーヤーになれるぞ」。意外な声に戸惑いながらも、MF片岡立綺(2年)はしっかりと心に留めていた。「うれしいです。自分でも分かっているんですけど、今体つきがない分、走って簡単にはたくプレーをしている。でも、もう少し戦えるようになると、キープ力も上がるのかな、と。自分のところでタメをつくって裏へ出すとか、場面によっては動かないプレーだったり、バリエーションが増えると思う」

 全国連覇を目指す桐蔭学園の中盤の新たな軸は160cm台の小柄な2年生MFだ。出身の東急SレイエスFC(神奈川)はフットサルコートでの練習が中心だが、徹底して技術と判断力を向上。昨年は1年生ながらも全国高校総体メンバーとなり、ベンチながらも全国制覇を味わっているMFはこの日、中盤で抜群の存在感を発揮した。ボールを受けて、捌いてはまた動いてボールを受ける。それもほとんどボールロストすることなく、前へ前へとボールを運んでいた。まだ相手を威圧するような迫力はなく、この日も得点に絡めなかったが、それでも再三決定機に顔を出し、シュートへ持ち込むなど背番号7は全国王者の中盤の中心となっていた。

 本人は「身長が高くない分、動いて、止めて、蹴ることを中心にやっている。止めて、蹴る後に動けるのが自分の良さ。パサーであれば止めて、蹴れればOKだと思うんですけど、自分はその後にボールに関われるところが一番の武器だと思っています。動き回っていろいろなところでサポートしながら、攻撃組み立てたい」。桐蔭学園の山本富士雄監督も厚い信頼を置き、前述の横浜創学館・岩本コーチは「あの子は上手い。上に行っても通用すると思います」とその将来性に太鼓判を押していた。

 春先、チームは不調だったが、新しい大会に新しい気持ちで臨むことができている。「去年、全国優勝したんですけど、自分は1試合も出られなかったんで、うれしい気持ちと悔しい気持ちがあった。自分のパフォーマンスで上にいければと思います」。昨年は同じ背番号7をつけたMF山田和輝(中央大1年)がMVP級の活躍を見せて全国制覇した。今年は自分が、という思いを、元日本代表の10番も評価した司令塔は強く抱いている。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2012

TOP