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[総体]「チャンスは逃さない」初出場・三浦学苑、日本一まであと1勝!!

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[8.3 全国高校総体準決勝 立正大淞南1-1(PK4-5)三浦学苑 松本平広域公園芝生グラウンド]

 平成24年度全国高校総合体育大会「2012北信越かがやき総体」サッカー競技(長野)は3日に準決勝を行った。2年連続で準決勝進出の立正大淞南(島根)と初出場の三浦学苑(神奈川2)との一戦は、1-1で突入したPK戦を5-4で制した三浦学苑(神奈川2)が決勝進出。4日に開催される決勝のカードは武南(埼玉2)対三浦学苑に決まった。

「自分達のサッカーは一言で言うと『見て楽しく、やって楽しく』のサッカーです」とMF栗原奨吾主将(3年)が説明する初陣・三浦学苑が、ついに決勝まで上り詰めた。初出場ながら静岡学園(静岡)や前橋商(群馬)などの伝統校を撃破してきたチームの勢いは、この日も止まらず、立ち上りからMF若林大輝(3年)らが積極的にシュートを放っていく。ただし、前半はエースFW林大貴主将(3年)をターゲットにセカンドボールを拾ってから分厚い攻撃を繰り出した立正大淞南のペース。前半18分には相手DFが負傷治療中で得た数的優位を活かして先制点を奪う。MF隅田竜太(3年)の左CK後の混戦からFW田路大樹(3年)が3試合連続となるゴールを決めた。

 ただ、立正大淞南は主導権を握りながらも2点目を奪うことができない。ミスでボールを自由に動かせなかった前半を1点差で折り返した後半、三浦学苑は本来の正確でテンポのいいボール回しからオープンスペースを活用するサッカーで流れを取り戻す。開始直後の1分には右サイドを突いたFW高城翔伍(3年)の折り返しからMF木村哲太(3年)がクロスバー直撃の左足シュート。その後もFW戸邉凱也(3年)の右足ミドルやSBの攻撃参加を交えたサイド攻撃で強豪を押し返した。

 そして9分、栗原の左FKがクリアしようとしたDFの頭上をわずかに越えると、落下点に入った若林が同点ヘッドをゴールへとねじ込んだ。その後も高い展開力を発揮した木村を起点に攻める三浦学苑は、FW野村徹(3年)の仕掛けや交代出場のFW橋本拓也(3年)の左足シュートなどで勝ち越しゴールを狙っていく。一方、立正大淞南は得意の中央突破が威力発揮。ダイレクトで落とされたボールをサポートした隅田や田路を起点に決定機を生み出していく。33分にはMF曽田雅斗(3年)のラストパスから隅田が決定的な左足シュート。さらにロスタイムには右クロスから林が、また右サイドの林の折り返しからFW坂口健太(3年)がそれぞれ決定機を迎えるが、このチャンスを活かすことができない。

 1-1で70分間を終えた熱戦の勝敗はPK戦に委ねられた。先攻・立正大淞南の3人目、CB徳丸将(3年)のシュートがクロスバーを越えたのに対し、三浦学苑は1人目の橋本拓から4人目のCB宮坂瑠(3年)まで4人連続で成功。最後は4-4から後攻・三浦学苑の5人目、若林がGKに触られながらもシュートをゴール左隅へねじ込み、三浦学苑イレブンが歓喜を爆発させた。

 初出場での決勝進出は初出場初優勝を飾った06年の広島観音(広島)以来6年ぶりの快挙。枝村監督は「(周囲以上に)こっちが驚いています。神奈川県でもまだ優勝していないのに」と苦笑いしていたが、総体も選手権予選も神奈川県準優勝が最高成績というチームが全国舞台で歴史を塗り替えようとしている。決して勢いだけではない。攻撃的な選手が多く随所で見せる技術の高さ、スピードが目立つが、豊富な運動量を活かした寄せの厳しさや宮坂とDF辺見雄飛(3年)の両CBを中心とした守備での健闘が決勝進出の要因。圧倒的な攻撃力を誇る静岡学園と立正大淞南をそれぞれ1点に封じるなど自分たちの特長を出しながら強さを発揮し、「三浦学苑」の名を全国に轟かせているのだ。

 学校が所在している神奈川県横須賀市など三浦半島の地域の選手たちを中心に構成された「地元のヒーロー」たち。それが日本一を掴もうとしている。枝村監督は「このチャンスにしっかりとチャレンジすること。こういう時にやらないと『男じゃないゾ』と言いたい」。選手達も周囲の盛り上がり、期待を意気に感じている様子。栗原は「先生やいろいろなコーチ、友達から『頑張ってくれ』『優勝を狙ってくれ』というメールが届いてくる。期待に応えたい。チャンスを逃さずに日本一になりたい」と宣言した。初出場ながら一気に頂点へ。自分たちの力で勝ち取ったこのチャンスを逃すつもりはない。

[写真]PK戦を制した三浦学苑が初出場初Vに王手!
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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