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得点直後に負傷交代も…永井「大丈夫。次も勝てる自信はある」

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[8.4 ロンドン五輪準々決勝 日本3-0エジプト マンチェスター]

 だれも追いつけない。前半14分、MF清武弘嗣が相手陣内でボールを奪うと、素早くアーリークロス。GKとDFの間を狙ったグラウンダーのボールにFW永井謙佑が全速力で走り込んだ。前に出てきたGKよりも一瞬早くボールに触れ、そのままGKをかわす。あとは体をねじって無人のゴールに流し込むだけだった。

「キヨ(清武)がうまくGKとの間のスペースに出してくれた」。7月29日のモロッコ戦(1-0)でも清武のラストパスに抜け出し、決勝点を奪った。永井の俊足と、そのスピードを最大限に生かすパス。絶妙なコンビネーションから値千金の先制点が生まれた。

 誤算は得点直後だった。シュートを打った際、後方からDFヘガジが遅れてチャージ。激しく衝突し、左太腿を強打した。「痛みはあったけど、最初は決まった喜びの方が大きくて」と、両手でガッツポーズを見せるなどゴールを喜んでいたが、そのままゴール前で倒れ込んだ。担架で運び出されると、一度はテーピングを巻いてピッチに戻ったが、前半20分、自らベンチに向かって×印を示した。

「フルスピードで追わないと、ディフェンスもハマらない。中途半端にプレーするより、フレッシュな選手が出た方がいいかなと思った」。スタッフに肩を借りてピッチを離れ、そのままFW齋藤学と交代した。プレー時間はわずか20分。しかし、その存在感は抜群だった。

 圧倒的なスピードと運動量で前線から追い回し、プレスの先陣を切ると、カウンターの起点になった。「相手のDFはデカかったけど、ハイプレスをかければ、すぐに蹴っていた。そこでハマれば、得点シーンも増えると思っていた」。先制点はまさに狙いどおりのプレーから生まれた。

 交代後はピッチの外から見ているしかなかった。それでも「(吉田)麻也も(鈴木)大輔もしっかり抑えてくれていたし、見てる分には怖くなかった」と、頼もしいチームメイトたちを信じていた。「前がしっかり追加点、ダメ押し点を取って、結果も内容もよかったと思う」と力説した。

 これで44年ぶりのベスト4。銅メダルを獲得した1968年のメキシコ五輪以来の快挙を達成した。「目指しているのはもっと上。歴史を塗り替えるのは大切だし、どんどん新しい歴史をつくっていきたい」。7日の準決勝に勝てば史上初の決勝進出、初の銀メダル以上が確定する。

 左太腿の状態に関しても「大丈夫です」と軽傷を強調。「アジア大会のときも打撲したけど治った。そんなに不安はない」。相手はメキシコか、セネガルか。「どっちになるかは分からないけど、どっちが来ても勝てる自信はある」。世界の頂点に立つまで、スピードスターはもう止まらない。

(取材・文 西山紘平)

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