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[高校MOM110]西武台GK市川圭一(3年)_這い上がった守護神がVの立役者に

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.15 全国高校サッカー選手権埼玉県大会決勝 市立浦和 0-2 西武台 埼玉]

 184cmの大型GKが連覇を狙う市立浦和攻撃陣の前に立ちはだかった。西武台の守護神・市川圭一はこの日、市立浦和に10本のシュートを放たれながらも相手攻撃陣をシャットアウト。特に光ったのは2点リードで迎えた後半ロスタイムの場面だ。集中力が切れかけそうな展開の中で市立浦和MF森崇(2年)に決定的なシュートを放たれた。だが、守護神はここでも落ち着いて対応。守屋保監督が「(残り)1、2分でも1点差になっていたら分からなかった。大きなプレーだった。最後まで集中切らさずに守ってくれた」と讃えたビッグセーブで、追撃する相手に勢いをつけさせなかった。

 「最後まで集中を切らさないように、と心がけていた。前回の試合よりは落ち着いて出来たと思う」と市川。3戦連続無失点で立った頂点に笑顔がはじけた。
 長身を生かしたクロスの対応にシュートセーブも安定。また大柄だがフットワークも軽い。そして何より「意識している」という相手に与える威圧感は圧倒的だ。だが、大会直前の遠征では2年生GKの控えに回っていたという。ただ、市川はそこからもう一段階成長して県大会では守護神の座を再び勝ち取り、安定したプレーを披露した。

 「3年生の最後の意地を見せなくちゃいけないと思っていた。(チーム内のライバルの)技術は自分よりも上。自分よりもレベルの高い選手とやれているので成長できたと思う。ただ、まだ自分は周囲に冷や冷やさせてしまっていると思う。チームメイトにも『アブねーよ』って言われますし(笑)。より安心してもらうGKになりたい」と語った。

 10月末までの2番手から信頼を勝ち取った市川。全国大会まで再び競争が待っているが、この座を渡すつもりはない。「(試合後の)ミーティングで監督は『国立へ行くのが夢だ』と言っていた。少しでも近づけるように1試合1試合やりたい。自分のいつも通りのプレーを出せるようにしたい」。好プレーを連発したパフォーマンスにも「満足できない」と引き締めた守護神がもう一段階成長して全国でもチームの力となる。

(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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