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[高校選手権]3年前の全国4強超えへ、八千代がPK戦制し最終切符を獲得

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[12.6 全国高校選手権千葉県大会決勝 八千代0-0(PK3-2)習志野 柏の葉]

 第88回全国高校サッカー選手権千葉県大会決勝が6日、柏の葉公園総合競技場で行われ、八千代がPK戦の末、習志野を下し、3年ぶり8回目の全国選手権出場を決めた。

 100分間+PK戦の死闘の末に、八千代が全国48番目の最終切符をつかみ取った。じりじりとした試合展開が続いた。4-4-2の八千代はダイヤモンド型の中盤のトップ下に入ったMF長澤和輝主将(3年)が抜群のキープ力で起点となり、サイドにパスを散らして攻撃を組み立てる。

 前半26分にはPKのチャンスをつかみ、先制の絶好機を迎えたが、長澤のキックはGK宮田和弥(3年)がセーブ。砂金伸監督も「長澤がPKを外したのは見たことがない」と振り返る、まさかの失敗だった。それでも八千代は気落ちすることなく、習志野を攻め立てた。

 前半29分には長澤のフィードからFW石川誠也(3年)が右サイドを抜け出すと、角度のない位置から強引に狙う。同31分にも長澤のFKにDF青木奎樹(3年)がフリーで飛び込んだが、シュートは枠を捉えきれなかった。

 習志野はボランチのMF佐藤功基(3年)がパスを引き出すが、中盤でなかなかボールが落ち着かない。FW三宅翼(3年)、FW坪井秀斗(2年)の2トップがいい形でボールを持てず、裏のスペースを狙った早い攻撃が目立った。

 0-0のまま後半に折り返すと、八千代はシステムを変更。FWの大和久弘樹(2年)が中盤の右サイドに下がり、右MFの齋藤昂太(2年)が左サイドへ。左MFの伊藤自然(3年)がボランチに入ってダブルボランチに変化すると、トップ下の長澤もFWに近い位置までポジションを上げる4-2-3-1にシフトした。

 習志野はハーフタイムに選手を交代。三宅に代えてFW武田彬寛(3年)を投入し、打開を図った。さらに後半19分にもMF車谷佑希(3年)に代えてFW本田仁彦(3年)をピッチに送り込み、FWの坪井が中盤右サイドへ回り、前線は武田と本田の2トップに変わった。

 八千代は後半25、28分に選手交代し、大和久と齋藤に代わってMF高橋昂平(3年)とMF朝木伴幸(3年)がピッチに入った。高橋が右サイド、朝木が左サイドに入ると、スピードある突破で両サイドからチャンスメイク。後半32分には青木のロングフィードに高橋が抜け出したが、左足のシュートはわずかにそれる。

 習志野も後半35分に左クロスから武田がヘディングシュートを放つなど互いに交代選手がチャンスに絡みながらゴールを目指したが、両チームともにゴール前で体を張った守備を見せ、ゴールを許さなかった。

 0-0のまま80分間を終えた試合は、10分間の延長戦に突入。それでも決着が付かず、勝負の行方はPK戦にもつれ込まれた。

 先攻の習志野は1人目のDF長谷部修(3年)のキックがクロスバーを直撃し、2人目のMF黒須大輔(3年)はゴール上に外す。八千代も1人目の伊藤がGKのセーブに遭うと、3人目の長澤はクロスバーに当ててしまい、前半のPKに続いてまさかの連続失敗。八千代にとっては嫌な流れだったが、ここで守護神が立ちはだかった。

 2-2で迎えた5人目。先攻・習志野の武田のキックをGK永村達郎(3年)が横っ飛びで弾き出すと、後攻5人目のMF黒氏啓介(3年)が右足で豪快にゴールネットを揺らし、八千代の全国選手権出場が決まった。

 4強入りを達成した06年度大会以来、3年ぶり8回目の全国選手権。3年前はMF米倉恒貴(千葉)、FW山崎亮平(磐田)を擁するタレント軍団だった。個々の能力では及ばないかもしれないが、それ以上に今回のチームは組織力が高い。

 一発を持ったエースの山崎、司令塔というより自ら仕掛けるドリブラーだった米倉。砂金監督は「3年前と違って、今年はパスの良さがある。攻撃のバリエーションも豊富で、幅と深さを使ってみんなで動いて、サイドからもオーバーラップして攻撃の枚数が増えていく」と指摘する。連動したパスサッカーから生まれる攻撃の厚み。個人技ではなく、チームワーク。「今年のチームには今年のチームの良さがある。3年前のチームにも匹敵する」と自信を見せた。

 長澤は「米倉さん、山崎さんがいた3年前の先輩たちを超えたい」と誓った。3年前のベスト4を上回る目標。決勝、そして優勝へ。新生オレンジ軍団が新たな歴史への第一歩を踏み出した。


[八千代の勝ち上がり]
5○1 県船橋
1○0 千葉敬愛
3○0 流通経済大柏
0○0(PK3-2)習志野

<写真>3年ぶりの全国選手権出場を決めた八千代イレブン

(取材・文 西山紘平)

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