beacon

[大学選手権]連覇ではなく「今年の歴史を変える」中央大が2-0発進

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.20 全日本大学選手権1回戦 中央大 2-0 中京大 NACK]

 第58回全日本大学サッカー選手権1回戦で昨年度優勝の中央大(関東2)が、東海地区2位の中京大と対戦。FW新田圭(3年)の先制ゴールなどにより、2-0で勝った。中央大は23日に行われる準々決勝で福岡大(九州1)と対戦する。

 目標は連覇ではなく、今年の歴史を塗り替えること―。昨年度の全国大学選手権で16年ぶりの大学日本一に輝いた中央大。今大会へ向けて、当然周囲からの連覇への期待は高まっているが、チームの意識は違った。佐藤健監督は「連覇というのではなく、今年の歴史を変えたい、と。4年生たちは自分達の代が何かを残そうと頑張っている」と説明した。

 ともに水戸ホーリーホック加入を決めているMF村田翔とGK小野博信やMF柴橋浩太、名古屋グランパス入り内定の新井辰也(すべて4年)ら昨年の経験者を多く残す。昨年記された新たな歴史に続くべく今年も戦ってきた。だが総理大臣杯予選ではまさかの関東予選敗退。関東リーグ1部では終盤に流通経済大を猛追したが勝ち点2及ばず2位に終わった。選手たちはシーズン当初から「タイトルを獲りたい」と言い続けてきただけに、これまでの結果には満足していない。

 今季無冠だからこそ今大会も王者として臨むのではなく、立場は“挑戦者”。ただし、「自分達のサッカーができればどこにも勝てる」と村田が話すとおり、日本一を奪い取る自信はある。

 この日は前半、左サイドの快足SB佐藤秀行(3年)が相手2選手にケアされ、効果的なサイド攻撃ができなかった。バイタルエリアでのパスもテンポ・精度ともに不十分。何より運動量が少なく、中大特有のハイプレッシャーをかけることができなかった。

 主力2選手の欠場も響き中京大のペースに引きずりこまれたが、それでも後半25分、右クロスのこぼれ球を柴橋がGKと競ると最後は今年1年間負傷で苦しんできたFW新田圭(3年)が左足で先制ゴール。中京大の全日本大学選抜DF森本良(3年)を中心としたタイトな守備と、再三のスーパーセーブでチームを鼓舞していたGK辰巳正矩(4年)による厚い壁をついに破った。

 中京大は直後から先発を外れていたエースFW齋藤和樹(3年)を投入。齊藤のドリブルにピンチを招く場面もあったが、小野が「山田と新井のCBは強力なんで、やられる気はしなかった」と語った通り、山田佑介(4年)と新井の両CBを中心に相手の反撃を跳ね返し、後半ロスタイムにはカウンターから関東1部得点トップのFW鈴木寛一(4年)が抜けだしてPKを獲得。鈴木自らが決めたゴールで2-0で勝った。

 後半のシュート数は実に15本。決して素晴らしい内容ではなかったが、先発の4年生が2人のみだった中京大に最後は実力差を見せ付け、準々決勝進出の権利を手にした。小野は試合後改めて「自信はある。優勝が目標」と宣言。満足のいくスタートではなかったことは確かだが、中央大イレブンの「自分たちがタイトルを獲る」という思いは全く揺らいでいない。

<写真>後半25分、中央大FW新田(中央)が先制ゴールをねじ込む
(取材・文 吉田太郎)

特設:大学選手権09

TOP